~1日目‐2~
「「「「いただきます!」」」」
1つのテーブルを、稲汰、稲汰のお母さん、稲汰のお父さん、神奈の4人で囲む。ちなみに稲汰のお父さんは、気さくで馴染みやすく、とても人柄の良い人だ。
そして、今日の朝ご飯のメニューは、赤飯、豚汁、鯖の味噌煮、マカロニサラダ、リンゴジュース。……と、普段より少し豪華なのが見てとれる。
「なんか、すみません……」
思わず頭を下げるが、
「良いのよ良いのよ。折角半年ぶりに来てくれたんだから、これくらいのおもてなしはさせてちょうだい。」
「……!ありがとうございますっ!!」
なんて良い人達なんだろう……!稲汰と幼なじみで良かったとしみじみ思う。
「そういえば、家の近くにあるひまわり畑の伝説は知っているかい?」
珍しく、食事中に稲汰のお父さんが口を開く。
「いいえ……。どんな伝説なんですか?」
不思議と興味を引き、急いで問いかける。
「『パートナーを求めし者、太陽の花の中へ行き、呪文の言葉を唱え祈れば、光輝く神に逢えるだろう』……というものだよ。」
「へぇ……」
すると、稲汰が思い出したように話し始めた。
「でも、神様に逢った人はおろか、呪文の言葉さえも分からないから、この伝説は幻になってきているんだ。」
「その伝説について、本とかは残っていないの?」
どうしても何か手掛かりやヒントが欲しくて、稲汰に詰め寄る。
「それが……何も残されていないんだ。この伝説も、この町で、ずっと昔から語り継がれてきたものだから、これ自体が正しいのかどうかも分からなくて……。」
稲汰の口から発せられたのは、『伝説を探すのは“絶望的”』ということだけだったが、神奈の中の好奇心の火が消えることはなかった。そして、この町から帰るまでには、伝説を必ず解き明かしてみせると、固く決意したのであった。