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今日はお泊まりだね!

遅くなってしまって、すいません。

冗長になってしまったので、その内に半分くらい削るかもしれません。

 今日の晩御飯はフィレステーキの予定だったんだけど、二人とも大丈夫かな? マナのことで不安になるようなら、今日釣った焼き魚とか出来合いの料理アイテムを出すけど。


「晩御飯は作っても大丈夫? 不安なら出来合いのとか、シャーリーさんと焼いた焼き魚とか出すけど」


「大丈夫だよ! クルミの料理美味しいし、お昼にあんなに食べたのに体調良いもん」


「そうですね。どちらかと言うと普段より体が軽い気がします」


 一応フラウに目で確認を求める。フラウは物珍しそうに部屋の中を飛び回っていたけど、私の視線に気付いて戻ってきた。


「ごめんごめん、人間の家って初めてでさー。で、料理でしょ? 焼き芋食べて何ともないなら大丈夫だって! 心配ならちょっとずつ食べれば良いんだよ。おかしかったら止めるから」


「じゃあ、ステーキ作るね。焼き加減は?」


「おまかせで!」


「私もオススメで大丈夫です」


「私も私も!」


「そうなんだ? 私はミディアムレアが好きなんだけど、生っぽいのは大丈夫?」


 生じゃないんだけど、一部生というか。生焼けは嫌な人多いだろうし。


「な、生ですか?」


「生というか、半生? ミディアムにする?」


「いえ、大丈夫です。私はクルミさんを信頼していますので」


「そういう言い方されると、私も断れないね。私も信頼してるしね!」


 別にミディアムでも良いんだけど。ミディアムに焼くときは、お肉を常温にしておいた方が良い。逆にミディアムレアとかレアにしたいときは冷蔵庫から出してから、それ程間を置かずに焼くと簡単。


「じゃあ、とりあえずミディアムレアにするから、無理そうだったら焼き足すからね」


 ミディアムからミディアムレアにするのは無理だけど、ミディアムにするのは火を通すだけだからどうにでもなる。


 ミディアムに焼くときは一旦火から離して、余熱で火を通しながら表面温度を下げる。肉を休ませるとか言ったりするんだけど、焼き続けちゃうとウェルダンなところが多くなっちゃうんだ。


 肉を常温にしてないと、中心部がミディアムになる頃には外側がウェルダンになってしまう。


 付け合わせは、人参、ジャガイモ、キノコのソテーとクレソン。


 あっ、フライドポテト作ろう。フライドポテトって色々あるけど、ハンバーガーショップの奴はフレンチフライ。フレンチフライだけど、発祥はフランスじゃない。テレビでやってた。そういうの多いよね。


 鍋にマルシェで買った油を入れ、温めている間にジャガイモを剥いて切る。油は調べたらオリーブオイルだった。なんかもったいない気分。キノコのアヒージョの方が良かったかな? 日本じゃ揚げ物はキャノーラ油使ってたなぁ。


 ジャガイモの皮は剥かなくても良いんだけど、表面が緑になってたらソラニンができてるから削らないとダメ。


 お客さんにお腹壊されたくないのでちゃんと皮を剥きますよ。料理スキルがあるから、ピーラーなんてなくても、簡単簡単!


 ついでにポテチ用のスライスも作る。料理スキル便利だわー。スキル無かったら、スライサーじゃないと無理だもん。


 フライパンにオリーブオイルを多めに入れて入れて、ニンニクを炒める。炒めると言うより揚げ焼き状態。ニンニクがカリッとしてきたら、ニンニクは別に取り出しておく。


 そしてこのガーリックオイルでお肉を焼いていくの。塩は岩塩、胡椒は黒胡椒をミルで轢く。 今回はシンプルなステーキ。香草も付け合わせのクレソンだけ。


 別に海塩でも良いんだけど、ミル付きの岩塩しかインベントリになかったの。胡椒も黒胡椒はミル付き。白胡椒は粉だったけど。


 絶対制作スタッフに料理好きが要るよね。しかも自分の好みの調味料だけ入れてる。味醂がないから和食派ではなかったんだろうね。


 お肉は牛脂で焼くのも美味しいんだけど、脂でもたれちゃうのよね。基本的には常温で固体の脂は動脈硬化のリスクが高いから、オリーブオイルで焼いた方が若干ヘルシー。


 羊の脂は牛脂よりさらに融点が高くて、腸の中で固体になって吸収されにくいらしいけど、本当かな?


 レアに焼くときは強火で、ミディアムに焼くときは弱火で焼いてたけど、今は気にせずスキルの導くままに焼く。


 スキルって便利すぎて技術が育たないね。あれ、逆? 技術を極めたらスキルになるのかな?


 料理なんて趣味だから全然極めてないのに、料理人さんごめんなさい。料理チート最高です!


 お肉を焼きつつポテトを揚げ、揚げ終わったら付け合わせのソテーを作る。味醂は無いのにバルサミコ酢はあるので、ちょっとかけちゃう。イタリア料理が好きなスタッフさんみたい。


 お肉は油多めで焼くと表面がカリッとして食感が良くなる。サーロインとか脂が多い肉は勝手に油まみれになるけど、フィレ肉なので脂はほとんどない。


 それにしても、このフィレ肉は大きいね。フィレステーキは細長い筋肉を輪切りにしたものなんだけど、細長い筋肉の一番太いところが一番高い。シャトーブリアン。


 スーパーで買うときはグラム単位で売ってるから、シャトーブリアンでも同じ値段なので、太いところを買うとちょっと得した気分。フィレ肉自体高いからほとんど買わなかったけど。


 私の中のスーパーシェフが囁くタイミングで火を止めて、お湯に漬けて温めていたお皿に盛り付ける。


 しまった。スープを作るの忘れてた。コンソメの素が無いからブイヨンを作らないといけなかったのに、すっかり忘れてた。


 今度コックさんで各種ブイヨンを作ってスープストックにしておこう。


 仕方ない、今更だけどコックさんに変身して時短でスープを作ろう。と言っても肉が焼き上がっているのに、今からフォンをとれないので、カボチャの残りを時短調理でペーストにして、カレーの時に作った飴色オニオンペーストを少量のお湯に溶いてカボチャペーストを混ぜる。もちろんカボチャペーストも余分に作ってストック。


 飴色オニオンは甘味と旨味が凝縮されてるから、オニオンスープのベースになる。これが今回ブイヨン代わり。


 塩で調味してカップにそそぎ、生クリームを少しと粗挽き黒胡椒をかける。これだけでそこそこ美味しい。生クリームじゃなくてオリーブオイルでも美味しいよ。カボチャの種かイタリアンパセリをふるとさらにグッド。


 パンプキンスープはカボチャ自体が甘いのでフォンが無くてもそこそこ美味しいけど、マッシュルームスープは流石にブイヨンが欲しい。


 デザートがカボチャプリンなのに、カボチャ被りになってしまった。デザート、フルーツか普通の熱々プリンにしようかな。


 初のお客様なのに、簡易スープで申し訳無いけど、今できる精一杯なので許してね。


 いつか懐石料理を作って、山椒の木の芽を散らした蛤のお椀とか出してあげるからね! 塩と水と日本酒だけでできるんだよ! 今は木の芽も蛤も無いんだけどさ!


「できたよー! クルミ牧場のお肉とクルミ農場のパンプキンスープ。キノコはさっき帰りに採ってきたヤツね」


「お、美味しそう!」


「凄く食欲を刺激する香りですね!」


「ガーリックたっぷりだからね」


 今回はお肉の味をより堪能するためにソースは無し。


「何も付けなくても美味しいはずだけど、お好みで小皿の岩塩、ワサビ、ポン酢をつけてみて」


 鉄板焼でよくあるスタイルだ。美味しいお肉には岩塩とワサビが最高だと思う。


 せっかくコックさんになったので、着替える前にガーリックライスも作っておこう。ニンニクとキノコをバターで炒めてご飯投入。塩胡椒して醤油を垂らしてメイラード反応を起こさせて香り付け。塩胡椒で調味、盛り付けてパセリをパラリで終了。


 家で面倒くさい時はレンチンして高温にしたご飯にバターとチューブのおろしニンニクを混ぜて、醤油を一回ししてパセリ。味の素かけても美味しいよ。


 レンチンしてご飯を高温にするのがポイント。醤油の香りを引き立てるのと、おろしニンニクに火を通すのを、ご飯の熱でやってるの。


「はい、ガーリックライス」


 着替えてご飯を持って行くと、皆早速お肉を食べていた。皆さん肉派ですね。誰もスープに手を付けてませんけど。スープから口にした方が太らないらしいよ? どうせ胸しか太らない人には言わないけどさ。私も肉から食べてたら、胸だけ大きくならないかな?


「お、美味しーいー! 私、こんな肉初めて食べた! 何で塩だけでこんなに美味しいの!?」


「この、ワサビ、お肉に凄くあいますね!」


「喜んでもらえたみたいで良かった。そのワサビは川辺で見つけたヤツだよ」


「そうなんですか。美味しいですね!」


 ココとフラウは半分ずつくらいが適量かと思ったんだけど、断固一人前を主張するので、一枚ずつ出している。


「フラウ、いきなりお肉なんか食べて大丈夫? 普段食べないのに脂っこくない? スープから食べれば良いのに」


「すっごい、美味しい! 香ばしくて塩と胡椒の効いた表面、程よく火が通って甘味を感じるミディアム層、そして肉汁とマナが溢れるレア層。

 口の中で旨味とマナが大洪水を起こしてるわ! あなた天才ね!」


「人間の食べ物を食べたこと無いのに、グルメレポーターみたいなこと言うあなたが、ある意味天才よね」


 見た目3歳児がステーキについて語り出すとか、何とも微笑ましいというか面白い。


「とっても美味しいの!」


「わっふー!」


 我が家の妖精達もご満悦。シロにはお肉二枚。シロは体が大きいからね。


「このポテトも美味しいね! ちょっと肉汁吸わすとまた美味しいよ!」


 セリスは脂を物ともしない。男子高校生みたいだね。まあ、年齢的に高校生なんだけど。


「皆、お肉ばっかりだけど、スープも飲まないともたれるよ? 胸焼けしちゃうよ?」


「全然大丈夫! この肉汁をスープにしたい!」


 焼き肉屋か! テールスープ美味しいよね!


「ガーリックライスも美味しいです。凄く香ばしいですね」


「醤油が決め手だよ」


「醤油ですか。聞いたことがありません」


「大豆を発酵させたソースだよ」


「へぇ、大豆ですか。それってギルドに卸せます?」


 さすがギルド職員だね。そんなこと気になるんだ?


「今は無理だよ。そのうち自作できないかやってみるから、できたら持って行くね」


 酵母があればできるんだけど、多分発酵スキルで都合の良い酵母が付けられると思うんだよね。酵母が選べなかったら腐敗スキルになっちゃうもん。


 発酵と腐敗は同じ工程で、人間に都合の良い物は発酵、都合の悪い物は腐敗って言うだけ。細菌とか真菌の中で発酵してくれるものを酵母って言ってるだけ。


 多分納豆と醤油、ワインはスキルですぐ作れる。納豆なんて茹でた大豆を藁に突っ込んどいたら、藁についてた酵母が納豆にしてくれるらしいしね。普通の味噌も大丈夫だろう。八丁味噌とか赤味噌って酵母が違うだけなのかな? 豆も違うのかな?


 シャーリーさんが気に入ったワサビは、卸し金が無かったから、コックさんパワーでペーストになるまで微塵切りにしてやったのだ

! 卸し金は買うか作るかしないとね。ワサビには鮫皮が良いって言うけど、卸し金でいいや。


「ビッグボアのお肉も熟成が終わったら、一緒に食べよう」


 ビッグボアのお肉は冷蔵庫に入っている。インベントリだと熟成が進まないから。


「やったー!」


 でも、私としてはもっと魚を食べたい。ぶりとか秋刀魚さんまとか。さけいわしあじも。やっぱり一度海には行かないといけないね。


 梅も見つけて梅干し作りたい。鮭と梅はお茶漬けとかおにぎりには欠かせないもんね。


 私もフィレステーキを食べてみる。肉汁が凄い。でもフィレだから脂っこくない。


 あー、美味しい! ステーキ丼にしたい!


 なんか肉ばっかり食べてるから、私はさっき焼いた焼き魚食べてみようと思ってたのに、美味しすぎて止まらない。塩・ワサビ・ポン酢のローテーションで飽きが来ないから、結局一人前食べてしまった。


 セリスが教えてくれたキノコも美味しい。マッシュルームとフクロダケみたいなの。人参も歯触りが良いし、凄く甘くて美味しい。


 フクロダケと言えばトムヤムクンだけど、あれはもう食べられないのかなぁ。コックさんのレシピ創造で何とかならないものか。


 トムヤムクンは世界三大スープの一つなんだけど、 三大スープってどれも作ったことがない。後はブイヤベースとフカヒレスープとからしいんだけど、ブイヤベースは鍋じゃん! そこはコンソメでしょ!?


 コンソメは作るの超大変。何時間も煮込んでメレンゲとかで灰汁を取り油をとり、琥珀色になるまで煮込む。それを漉して澄んだ琥珀色になってやっと完成。濁ってたらもう失敗、最初からやり直し。


 大変すぎて本物のコンソメが飲めるレストランって、本当に少ない。あっても一皿3000円から5000円くらいすることが多くて、頼むのには勇気が要るんだよね。


 子供の頃に両親が連れて行ってくれたレストランで飲んだコンソメの味、今も憶えてる。社会人になってから飲んだコンソメは、自称コンソメばっかり。味に深みがなかったり、塩で誤魔化してたり、澄んでなかったり。どこかのホテルで飲んだスッポンのコンソメは美味しかったけど、それくらいかな。


 だから今度作るよ、あの思い出のコンソメ。料理チートがあればできると思うんだ。私の家族の思い出の味なんだよ。


 お母さん、あんまり料理得意じゃなかったから、お袋の味なんてなくて、その代わり両親は色んなお店に連れて行ってくれた。だから、私、食道楽なんだけど、食べに行ってばかりじゃお金が足らないから、段々色々作るようになっていったの。それくらいしか趣味無いし。


 思い出の至高のコンソメに比べると、いくらスキルを使っていても、パンプキンスープはまあまあ。結構美味しいけど、普通に美味しいだけで感動がないのが残念。嫌いじゃないけど。


「スープも甘くて美味しいー!」


「ほっこりしますねぇ」


 喜んでくれて良かった。お客様が喜んでくれるのが何より。


 セリスとシャーリーさんは甘党だからコンソメよりこっちの方が好みに合ってると思う。できることならブイヨンを入れたかったな。


 このカボチャは凄く甘いから、とてもお気に召したみたいだし、サツマイモのスープとかも喜ぶかも。私はクリーミーなスープはジャガイモのスープ、ビシソワーズが好き。生クリームたっぷりのやつ。


 二人とも次回はもっと美味しいスープを飲ませるから、楽しみにしてて!


 飲み物はお水とグレープフルーツジュースを出してたんだけど、お酒の方が良かったかな? あ、お水は水道の水は霊峰の湧き水で、衛生的にも問題無いミネラルウォーターでした。


 ヨーロッパ風だけど、ミネラルウォーターは軟水で、とても助かるけど色々私に都合が良過ぎる。また、精霊さんか妖精さんが気を利かせてくれているに違いない。いつもありがとう。


 水道が硬水だとミネラルが析出しやすいので、洗濯機が壊れやすい。お尻洗浄機付きトイレがヨーロッパであまり見かけないのも、同じ理由って聞いたことがある。


 ご飯は硬水で炊いたこと無いから知らないけど、多分軟水の方が良いと思うし、良かった良かった。


「シャーリーさん、お酒飲む? ワインでも出そうか?」


「まあ! お酒あるんですか? できたら少し頂きたいです」


「私も私もー!」


「セリスの歳でお酒飲んでも良いの?」


 出して良いものか、シャーリーさんに視線で問いかける。すると、シャーリーさんはニッコリ笑って頷いた。


「この国では15歳で成人すれば、特に問題ありません。子供でも薄めたワインを飲むところもありますしね」


「そうなんだ? じゃあ、赤ワインでいいかな?」


「はい」


「やったー!」


 ゲームアイテムの赤ワインなので、一応テイスティングしておこう。ワイングラスも一応ある。そんな何種類もないけどね。普通のワイングラスとスパークリング用のフルートグラス。


 ワイングラスはボルドー用っぽい形だけど、小さめで白ワイン用くらいの大きさ。私はお酒が弱かったから、テイスティンググラスで飲んでたので、もっと小さくても良いくらい。


 テイスティングしてみたら、渋めのフルボディ。よくあるカベルネ・ソーヴィニョンっぽい赤ワインだった。私は料理用にもこのタイプのワインを使ってたので助かる。


 ワインも無くなる前に作らないといけないなぁ。


「うん、大丈夫だよ。お肉によく合うフルボディの赤ワイン。はい、どうぞ」


 二人に赤ワインを出していると、精霊さんと妖精さんが物欲しそうに、指を咥えていた。家のスピリチュアルメンバーは、とても食に貪欲です。


 さすがにお酒は出せないので、見た目が似てるグレープジュースをワイングラスに入れてあげる。同じに扱う雰囲気が大事なので、ちゃんとジュースもテイスティングしました。


 とても濃厚で渋みのある、大人好みのグレープジュースで、もしかしたらワインと同じブドウなのかも。


「美味しーいー!」


「はぁぁ、蕩けちゃいますぅ!」


 二人ともそんなにお酒好きだったの? 今度お酒たっぷりのガトーショコラを作ってあげよう。チョコ、手に入るかなぁ?


 あ、先に拾った栗でマロングラッセとモンブランを作らなくちゃ。それをお酒多めにしてみよう。 私用には、もちろん栗ご飯!


 料理スキルの影響か、色んな物を作りたくなる。作業服着てたときほど欲求はキツくないけどね。


「ねぇ、フラウ。二人にマナの影響出てない?」


「出てるけど、良い影響しか出てないよ。クルミのマナは特殊なのかも」


「良い影響って?」


「魔力とか体力が向上してるみたい」


「へぇ、あなたも?」


「精霊は霊的生命だから、魔力だけだけどね」


 良かった。害がないならマルシェでスープバーの夢も実現できるかも。それでお小遣いをためて海でお魚いっぱい買うんだ!


「お肉美味しかったのー! えへへ」


 なんだかココの顔が赤い。間違えてワイン飲んだのかな?


「ココ、酔っぱらってない? ワイン飲んだ?」


「飲んでないのー」


 雰囲気酔いってやつかな? グレープジュースもちょっとアルコール入ってたのかな?


「妖精はフェアリーベリーで酔っぱらったりするらしいから、このジュースに酔っちゃったのかな? フェアリーベリーも酒精は無いから、何に酔ってるのか知らないけどね」


「えへへ、気持ちいいのー。ポカポカして、キラキラしてるのー」


「えー? グレープジュースで酔ったの? お酒がちょっと入ってるタルトタタンは大丈夫だったのに?」


 妖精って謎。猫のマタタビみたいな物なのかな?


「グレープフルーツとかオレンジジュースは大丈夫なのにねぇ。グレープジュースに害は無いと思うけど、ちょっとお水飲んでおきなさい」


「はーいなのー」


 す、素直で可愛い。ココは酔っぱらった方が女の子っぽいね。座り方も女の子らしく足をそろえてテーブルに横座り。いつもなら、足をバタバタさせたりしてるのに。


「クルミ、大好きなのー」


 脈を診ようと手を近づけたら、私の手に顔をスリスリしてくる。やばい、キュンキュンきた!


 ココの首筋がドクドク脈打ってるけど、よく考えたらココの平常時の脈拍数知らないや。


 ココの可愛さにやられて、撫で撫でしてるとそのまま眠ってしまった。あのココがデザートを食べずに寝るなんて!


 可愛いから写真を撮っておいた。害がないなら時々グレープジュースを出してあげよう。私も癒されるし。


「ずるいー! 私も撫で撫でしてー!」


 フラウが抱きついてきたので、膝の上に乗せて撫で撫でする。髪の毛フワッフワッ! ゴージャスなお花で撫でにくいけど。


「フラウは良い匂いだね。なんだか落ち着く」


「だって、木と花の精霊だもん。森の中って落ち着く香りするでしょ? 木の香りと花の香りで精神の癒しもできちゃうんだから! 凄いでしょ!」


「凄いねー。フラウは可愛いし、凄いね」


 フラウ抱っこして寝たら、無茶苦茶よく寝れそう。可愛い。こんな子、産んでみたかったな。あ、別にまだ将来産めるのか。


 哺乳類の子供は庇護欲を刺激するために可愛くなってるとか聞いたことがあるけど、妖精さんと精霊さんは哺乳類じゃないけど、とても可愛い。外国人の子供みたい。


「あははははー!」


「うふふふっ」


 セリスとシャーリーさんはお酒が入ると笑い上戸になるのか、ずっと笑ってる。お肉がなくなってたので、マルシェで買ったチーズを出してあげる。 カボチャプリンは合わないだろうから、明日にしよう。


 チーズと赤ワインって、私的にはそんなに合わないと思うんだけど、定番だしね。


「あっ、クルミだー! このワイン、とっても美味しいよ! こんな濃いワイン初めて」


「私もこんな濃厚なワインは初めてです。街でよく飲まれるワインはもっとサッパリしてて、ちょっと酸っぱいんですよ」


「そうなの? ブドウの品種が違うのかもね。結構飲んでるみたいだし、今日はもう泊まっていくでしょ?」


「うん、泊まるー! 帰ったら、クルミが淋しくて泣いちゃうし」


「な、泣かないもん! お酒を飲んで夜の森を抜けるのは危ないから、泊まっていけば良いの!」


 さ、淋しくなんかないもんね! 元々一人暮らしだし!


「私もお泊まりさせていただいても、よろしいのですか?」


「当たり前じゃないの。お風呂は酔いが醒めてから入ってね。危ないからね」


「あら、私はワインくらいでは酔いませんよ? もう、クルミさんったら! うふふ、あははは! クルミさんとお風呂、楽しそう! あははは」


 滅茶苦茶酔ってますね。楽しそうで良かったです。お子様ズはお風呂に入って寝ましょうね。


 もちろんフラウも帰す気は無いのだ。今日は抱っこして寝るのだ! ココは寝ちゃったから、フラウとお風呂に入ろう。


「フラウもお泊まりで大丈夫だよね? 一緒にお風呂入ろっか」


「お風呂!? 人間のお風呂入ったこと無い! 山の方に温泉があって、そこは時々行くけどね」


「温泉!? 温泉大好き! 今度連れてってね?」


「うん、いいよ!」


「やったー! 楽しみ!」


 フラウと入ったお風呂は、何も入れてないのに花の香りがして、とても気持ちよかった。危うく寝てしまうところだった。


 お風呂から出てパジャマに着替えると、二人のパジャマも用意しておく。パジャマはハズレアイテムで無駄にいっぱいある。ナイトキャップまであるの。


「パジャマは脱衣所に置いてるからね。ベッドは一台しかないから一緒に寝よう」


「私、ソファーでもいいよ?」


「私も床でも大丈夫です」


「床って! ベッドは大きいから一緒に寝れると思うよ? 先にベッド行ってるからね」


 抱っこしてるフラウがウトウトしてる。普通の子供みたい。ココは先にベッドに寝かしてある。


「ワイン全部飲んで良いけど、程々にしときなよ?」


「はーい! おやすみ、クルミ!」


「おやすみなさい。ゆっくり休んでくださいね」


 セリスとシャーリーさんはワイングラスを掲げて挨拶してくれる。


「ありがとう。おやすみなさい」


 誰かにおやすみの挨拶するって、何て幸せな気分になるんだろう。一人じゃないって、楽しいな。嬉しいな。


 明日も二人におはようの挨拶までできちゃう。お客様の朝食は何にしたら喜んでくれるかな?


 セリス、シャーリーさん、フラウ、ありがとう。私、もう淋しくないよ。



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