第990話 雲霧仁左衛門との戦いその4
シャンシャンシャン、ピーヒャラ、ピーヒャラ、シャンシャンシャン
聞こえてきたのは神楽のおはやし。
各祭殿で巫女達が神楽を奏で舞を踊る音。
「常陸の国を守りし神々よ俺に力を貸し与えん。民を守りたまへ国を清めたまへ悪を払いたまへ高天原におわします神々よ黒坂真琴が願い奉る、眼前の悪鬼を討つ力、御神力の片鱗を貸し与よ憑依武甕槌大神」
俺の願いは五芒星と言う神社を特殊配置したこの袋田大子城のおかげで、高天原に届く。
さらにその祭殿では巫女達の神楽。
いつもの陰陽道の力だけではない。
増幅された力。
今までは様々な御神の力の一部を借りて技を使っていたが、ここでは完全神憑り。
「・・・・・・なっ、なんと、常陸が黄金に輝いている」
百戦錬磨の織田信長でさえ驚愕していた。
「黒坂流陰陽道・秘技・神憑り『武甕槌大神の鎧』」
「なっなんだと!どうせはったり、貴様ははったりが得意だからな」
そう言って太刀を構え突っ込んでくる雲霧仁左衛門、俺は冷静に納刀、目を閉じ力を集中する。
雲霧仁左衛門の体を斬るのではない。
妖魔を斬る。
「鹿島神道流・奥義・一之太刀・雷光石火」
『鹿島神道流・奥義・一之太刀・雷鳴』に陰陽の力でまとった武甕槌大神の力を上乗せした究極の抜刀術。
黄金の光輝く刀身は、突っ込んできた雲霧仁左衛門の太刀とともに胴体をまっ二つに斬った。
雷光で斬られた胴体は燃え上がった。
あまりに速い抜刀術は雷鳴のごとく凄まじい音が響き渡る。
雲霧仁左衛門が何かを叫んで一つの黒い球体が空へ飛ぼうと口から吐き出される。
「黒坂流陰陽道・奥義・神五芒星の陣」
斬り上げた太刀を地面に刺すと袋田大子城本丸その物が大きな五芒星の光の柱を天に向けた。
その光の中は黄金の雪が降る世界。
黒い球体から声がする。
「くわぁぁぁぁぁぁぁぁ、苦しい苦しい痛い痛い助けてくれ、くわぁぁぁぁ」
その声はいくつもの人々の声が重なっているかのような声、それを黄金の雪はかき消していく。
「地獄、地獄、地獄・・・・・・・行きとうないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
15分ほど降り続いた神力の雪は雲霧仁左衛門の体もそして逃げだそうとした妖魔の塊もすべてを消し去った。
地面に残されたのは赤い忍び装束だけだった。




