第982話 警護は女子ばかり?
袋田大子城に高琴が新免武蔵などを連れ入城した。
「父上様、警護が手薄、また母上様方々が警護をなされているのは・・・・・・しかも父上様の警護の兵って、なぜに女子ばかりなですか?」
俺の側近警護は現在7割、女子。紅常陸隊。
「え?だって、普通に強いし、ほら、船に乗った時もむさ苦しくないし」
正式に側室とした者以外手を出さない約束を強く守っている事を理解している茶々達は、特に文句も付けない。
紅常陸隊は、ちゃんと鍛え上げられた兵。
「しかし、父上様、今は命が狙われているとき、もっと多くの者を警護に回します」
「高琴、言っていることはわかるが、他を手薄にはしてくれるな。敵は山などなんとも思わず火を付けるような者。町だって標的なはず」
袋田大子城に兵を集めないのは、他を手薄には出来ないからだ。
こちらはまだ町も整備中で、ひしめき合っている家々の状態ではない。
大火事にはなりにくい。
茨城城下などは大都市の片鱗が形成されている。
一度火が付けば大火事だってあり得る。
「高琴、こちらは心配せずに茨城城の町を守っていなさい。新免武蔵も高野の城に戻って同じく町を守るように」
「大殿様の命、この新免武蔵、二刀流の剣を持って必ず守ってみせます」
「しかし、父上様」
「くどいぞ、高琴、町を守り民を守る事を最優先としなさい。軍勢に囲まれているわけではないのだから、こちらは今のままで十分。茨城城下の多くの民の方が心配だ。それこそ異国なら毒ガスも使われたからな。それで坊丸が・・・・・・」
「兄上様、私たちが父上様をお守りいたしますから」
そう熱田と神産はいきり立っていた。
「高琴、私たちの腕が信用できませんか?」
お初がそう言ったと思ったら、すでに高琴と新免武蔵の後ろでお江が抜き身の短刀を二人の背に当てていた。
冷や汗を見せる高琴は
「そう言うことを申しているのではないのですが、母上様方々を守るのに・・・・・・」
「城から出なければなんとかなる。ミライアは一人になってしまったからな。その隙を突かれたが」
「わかりました。しかし、太上皇様がこちらに向かわれているとか。その際はお供をいたします」
そう言って茨城城に帰っていった。




