第978話 袋田大子城『鉄朱色漆塗四神妹萌門』
「この城を袋田大子城と命名する」
ミライアの葬儀が済んでから一週間、城を改めて見て回った。
五芒星の稜堡式の縄張りの巨大な城。
石垣はインカやマヤの技術が使われ、紙一枚通らないよう精密に組まれている。
そこに萌えの集大成と呼ぶべき装飾を持つ城・・・・・・。
俺が書きためていた下絵のほとんどを具現化している。
城を守り固める外壁には、ヴェネチアから応援に来た絵画職人が、最後の晩餐のような食卓を壁一面に描いている。
すべて俺が大好きだったライトノベルのヒロイン達だ。
大手門は、家事全般得意とする男だと偽っていた妹と、着ぐるみパジャマ愛用のおうち大好き妹・・・・・・、お面で顔を隠す神絵師の引きこもり妹に、実はお兄ちゃん大好き「将来養ってあげる」と言う面倒見が良い神がかっている妹・・・・・・。
なぜにこの組み合わせなのだろうか?
四人は、ち●ろは鹿島神宮の神の使い化して鹿の着ぐるみ姿、か●では笠間稲荷神社の神の使い化して狐の着ぐるみ姿、さ●りは古峰神社の神の使い化して天狗のお面を付けパーカー姿、こ●ちは熊野神社の神の使い化して八咫烏のマークが入った着ぐるみを着ていた。
どれも鹿島神宮、笠間稲荷神社、古峰神社、熊野神社の神主に来て貰いお祓い済みだと言う。
「殿様、どうです、最高のできでしょう」
そう言って左甚五郎は胸を張っていた。
「尊い、なぜに神妹4人なんだよ~・・・・・・萌えだよ萌え萌え萌え過ぎるだろ、ハァハァハァハァ」
「手文庫の中に神妹と描かれていた絵がございましたので、殿様の妹御かと思いまして・・・・・・あっしたちが出会う前に亡くされたのかと・・・・・・そのような方を神格化して城の守りとして」
左甚五郎に大きな勘違いをさせてしまっていたようだ。
「この門を『鉄朱色漆塗四神妹萌門』と名付ける」
「あっ、やはりこのような妹御がおわしたのですね」
そう言って拝んでいた。
違うんだよ、違うんだよ、こんな妹が欲しかったんだよ。
違うんだよ。妹いなかったから憧れなんだよ。
しかし、すごいな・・・・・・茶々達は最早、『今更だ』と諦めて一切口出しをしてこなかった。
お江は城の装飾で悲しい事を忘れ癒やす一時となっているようだった。




