第976話 雲霧仁左衛門対お江
ふははははふははははふははははふははははふははははふはははは。
この体は良い、今まで一番だ。
この体なら黒坂常陸も仕留められるはず。
あとは期を見て・・・・・・。
やはり袋田の新しき城に入ったか、少々様子を・・・・・・。
なんだ?この糞みたいな結界は?これでこの儂が入れないとでも思っているのか?
ぬるいぬるい・・・・・・。
黒坂常陸も年老いたと言うことか?
やつの首を取るなど容易いか?
どうせなら織田信長もろとも始末したいものだが・・・・・・。
ふっ、側室の葬儀か?
悲しいか?悔しいか?苦しいか?
ふははははふははははふははははふははははふはははは
笑いが止まらぬ。
今までの借りを返してくれるぞ、黒坂常陸。
ん?何だ?弱々しい結界なのに、狐火が使えぬとはなぜだ?
城に火を放ち混乱の中、黒坂常陸の首をと思ったが臭水を用意してくるべきであったか?
まぁ良い、また忍び込んで・・・・・・!暗闇に紛れて屋根から屋根へと飛び移り外に出ようとすると
「あなたがミライアちゃんを殺した人ね」
忍び装束に身を包んだ女、
「貴様、見たことあるぞ、確か黒坂常陸の側室の一人だったな」
「マコの敵は私がみんな始末するんだから!してきたんだから、あなたも死んで貰うわ」
「ふははははふはははは、返り討ちだ、貴様の命も取ってやる」
背中の刀を抜き立ち向かうとはじき返された。
「なんだ貴様の刀は!?」
「マコの特別製、これであなたの首を落としてくれるわ」
速い速い静かな動き、剣撃は静かにそして鋭い。
今まで何人も仕留めてきたであろう太刀筋、だが、
「所詮は女の細腕、重さが足りぬわ!魔道に落ちし者よ、我に力を貸し与えん。漆黒の闇は光を食らう。闇力」
力で押し斬ろうとする顔の前で、なんとかかんとか堪えている。
苦しそうに歯を食いしばり、必死の形相。
「良いぞ良いぞ、その顔、苦しむ顔、ふははははふはははは、死に行く必死の者の顔が俺は好きなんだ」
さらに力を込める、
「マコ・・・・・・ごめん・・・・・・しくじったかも」
「ふははははふはははは、最後に残す言葉、良いぞ良いぞ、もっと弱音を吐け、ふははははふはははは」
殺気を感じあと一歩の所だったのに後ろに飛んだ。
ズドーン
一発の銃声が聞こえた。
下を見ると、黒坂常陸が作り上げた新式の銃を構えている女が見えていた。
「くっ、今日はここまでだ。いい顔だったぞ、黒坂常陸の女」
あと少しで命を貰えたものを。
足場の悪い屋根の上、下から狙われると逃げ場がない、今日はここで退散だ。
ふははははふはははは。




