第950話 力自慢の若武者?
伊達政宗の尽きない歓迎をあとにして、インカ帝国へと陸路で向かった。
艦隊はお初に任せて、ほぼ同じ速度で南下して貰う。
「海のすぐ近くにこの様な山脈が続くとは良い景色だの~」
馬に乗る織田信長は景色を堪能していた。
「良いでしょ。好きなんですよ、この景色。西は海、東を見ればすぐ山脈、まるで富山みたいな景色で、好きなんですよね」
そんな話をしながら進むと、国境の関所に入った。
エクアドル藩とインカ帝国の国境。
自由に往来出来るが、有事の際に閉ざしたりするために作られている。
前触れが当然、俺たちが通ることを伝えているので役人は丁重に通してくれた。
「待て~い!ここを通りたくば我を倒してからだ」
立派な甲胄に身を包み、顔も面で隠している人物が突如として現れ、先を通せんぼしていた。
「始末してしまいますか?」
警護の兵が聞いてくるが、相手は刃先を持たない木で出来た薙刀を持っていた。
もしかして単純な腕試しかな?
兵に声をかけようとする前に、二人の護衛が、
「無礼者、太上皇様、黒坂常陸様との知っての狼藉か?」
槍を向けると、その若武者は木の薙刀で素早くねじ伏せ、兵に膝を着かせていた。
「邪魔だな。儂が撃つ」
ライフル銃を構えようとする織田信長を止める。
「あぁ、信長様、ちょっと待って下さい。なんか気になるので俺が手合わせします」
馬を下りて
「手合わせが希望か?」
「いかにも、腕試し、いざ勝負を」
木刀の薙刀と言う段階で完全な敵対者ではないのがわかるのと、少々、気の気配が気になる。
流石に木刀を携帯していないので、道ばたに落ちていた木を拾い、ちょうど良い長さに折って軽く素振りをする。
「真琴様、その様な事は家臣にさせれば良いのです」
茶々は止めたが、
「マコ~、ね~マコ~、私やろうか?やり過ぎないように出来るよ」
小声でお江は言ってきた。
「お江、やはり気が付いたか?」
「うん、多分」
そう言いながら若武者をにこやかに見ていた。
「黒坂常陸守真琴、腕自慢に付き合ってやろう」
「ち・・・・・あっ・・・・・・、黒坂常陸守様、感謝する」




