第933話 蛻の殻
次の日、酒が抜けた織田信長は元気ないつもの織田信長に戻っていた。
「二度と来ることがないであろう地よ、さらば」
と、残っていた酒を凍り出していた自分が刺した太刀にかけていた。
こんな時でも風流人だなと感心する。
「信長様、力丸が遭難と勘違いして動き始めているので、余韻に浸っていないで帰りますよ」
「ん?そうなのか?」
「はい、そうなんです」
「一日多く休んでしまったからの~すまん」
と、犬ぞりを飛ばした。
いくら急がしたとしても犬の負担を考えると限界があり、一つ前のキャンプ地にたどり着くとやはり誰もいなかった。
「二つ前のキャンプ地には風力発電で通信機付ける手はずを整えていたからそちらにまで戻ってしまったかな?」
「ん~そうか?慌てさせてすまぬことをしたな」
「まぁ、過ぎたる事をうだうだ言っても仕方ないですから。ん~それより、お江、ヘーブン達に大きく氷の上にこれを書かせてくれ」
「ん?五芒星?」
「上から見たらすぐに俺だとわかると思うから」
「あ~アセナちゃんと佳代ちゃん?」
「力丸の知らせが確実に届けば、まず飛行機で探し始めるはずだからね」
と、指示をするとキャンプ地で燃やした燃えかすの煤を使って銀色に輝く大地には大きく書かれた。
犬を休ませないとならなくどうしても休息をせねばならず急ぐことは出来なかった。
ん~雪上車作っておくのが良かったかな・・・・・・。
飛行機とヘリコプター・・・・・・戦車作っているんだから雪上車のが簡単だったかも。
うっ、しまったなぁ~。
そんなことを考えながらも俺も体を休めないとと、眠りについた。




