第932話 二日酔い
「う~頭が痛い」
「もう、あまり飲めないのに、何しているんですか?信長様」
普段あまり酒を飲まない織田信長なのだが、南極点という特別な地に来た感動からか、いつもより多く酒を飲んでいた。
飲んだ勢いで南極点で一舞いしたくらいだった。
「ここ、標高高いから酔いやすいんですよ。もう・・・・・・お江、食糧と燃料は余計にあるよな?」
と、お江に聞くとヘーブンが犬ぞりにくくりつけてある荷物を確認して、
「だいじょうぶ 6日 は余裕だっへ」
「マコ、大丈夫だって」
「なら、今日は休息です。信長様、静かに休んでいて下さいよ」
「うう、わかったからそう騒ぐな」
と、頭を抱えて狭いテントで横になっていた。
夕方になると突如遠くから何かの気配を感じる。
は?ここって生物いたっけ?
いや、いないはずだけど?
と、気配のするほうを見ていると、犬二匹だった。
すぐに近づいてくる犬は間違いなく、犬ぞり隊の犬。
エミリアとユエが捕まえてワシャワシャと撫でていた。
すると、首輪にくくられた手紙。
異国語で書かれていたのをヘーブンが訳して、
「そうなんですか? と かかれている です」
「ん?遭難?あっ!力丸が慌ててる?うわ~力丸、真面目だからなぁ~指示通り行っちゃったか・・・・・・」
「マコ~私達だけ戻って知らせてくる?」
と、お江が聞いてきたが、
「いや、変にちりぢりにならないほうが良いだろう。それこそ『遭難です』に、なってしまいかねないから。ほら、俺なら方角わかるし」
「マコがそう言うなら」
と、お江は留まっていた。
珍しく二日酔いの自分を責めている織田信長には知らせないでおこう。
う~・・・・・・力丸慌てふためいて無理してくれるなよ。




