第927話 南極点探検隊
準備は整った。
先を探索させていた犬ぞり隊が30キロ間隔でテントを設営、次の30キロ地点でおおよその南極点に到達しそうだという。
計5ヵ所の拠点が作られる。
犬ぞり隊は4組出来る。
8頭引きの犬ぞりは最大で6組出来るが、2組はもしもの時の救援者として南極大陸茨城城に残すこととした。
一つの犬ぞりに2人乗れる。
操舵手が1人必要なため、4人が行けることとなる。
「南極点を目指す者は俺が決めさせて貰う。信長様は当然として、俺、お江、力丸」
と、名を呼ぶと茶々が
「まぁ、仕方ないでしょうね」
と、残念そうにため息を吐きながらも、
「私はお江やお初達のように、死線をくぐり抜けた冒険などしてきませんでしたから。私はもしもに備えてここで待機します」
「茶々、申し訳ない。もしもがあったら、潜水艦で待機している佳代ちゃんと連携して捜索隊を出してくれ。ただし、捜索期間は3日間。その間に手掛かりがなければ、捜索打ち切り。夏期の終わりが見えたら、問答無用に南極大陸離脱を命じる」
「私にしか出来ない、恨まれ役としての決断ですね」
と、険しい顔で答えた。
「うむ、儂からも命じておこう。これは儂の酔狂、遊びだ。遊びで死ねるなら本望だ」
と、織田信長も言うと、森力丸が、
「一緒に異国の地で氷漬け・・・・・・そんな死なんてあっても良いですね。本当なら、あの時焼け死んでいたのに」
と、笑っていた。
「私がマコ達絶対帰すけどね」
と、お江は謎の自信を見せ、ヘーブンが
「ぜったい 帰って きますんです」
と、茶々に言っていた。
「では、行ってくる」
1621年12月9日
南極点を目指す冒険隊は出発した。




