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第88話 中国・毛利攻め情勢

 寒い寒い冬がようやく終わり梅の花が咲き終わり桜が満開になったころ、俺は信長の主宰する野点の大茶会に参加していた。


多くの公家衆や有力商人、安土にいる人質となっている織田家下の大名の家族などが呼ばれていた。


そんな中、俺は端のほうでひっそりとなりをひそめるよう目立たないようにしていた。


だって、ものすごく場違いな感じがあったから。


目立たないように、いつもの気慣れた学ラン型の服ではなく、深緑に染めてもらった武士が普通に着ている大紋の着物を着て自然と同化するようにしていた。


そんな中、織田信長の嫡男、織田信忠を総大将とする中国・毛利輝元と将軍・足利義昭の討伐の話が耳に入ってきた。


瀬戸内を西に進撃する織田信忠・羽柴秀吉は美作、備中、安芸、石見、周防、長門を次々に攻め落とした。


驚異の進軍は、俺が提案して作らせた新式火縄銃の功績によるものだった。


射程距離、命中度が上がったため、旧式の火縄銃では相手にならなかった。


そして、朝廷からの討伐の勅命は、大義名分としてはこれ以上になく、次々に織田側に寝返る武将が相次いだ。


日本海側を西に進撃する柴田勝家・前田利家は伯耆を攻め落とし、出雲のほとんどを占領し毛利輝元が籠城する月山富田城を包囲していた。


そこに総大将・織田信忠が合流し兵糧攻めをしている。


羽柴秀吉は、信忠の命により周防・竜王山と下関に城を築き始めていた。


信忠は、父、信長の九州力攻めを予想してとの事だろう。


信忠は愚鈍ではない。


一武将としてそれなりの才覚は持っているようだ。


で、なかったら織田信長が織田家宗家の家督を譲り美濃を任せたりしない。


美濃を制する者は天下を制すると言われるほどの重要な地であるのだから。


どちらにしても、毛利輝元に援軍の見込みはなく、月山富田城の陥落は時間の問題となっており、信長は機嫌が良かった。


安土城の庭に作られた能舞台で、笛と鼓を演奏させる中、敦盛を踊る織田信長。


『人間五十年~~~~』


かっこいい。


流れるような動きには、振られる扇には海の波のようにも見える。


その動きすべてに人生の儚さが込められているように見えた。


静かにぽたりと涙を流しながら見ていると、


「ぐふぅっーーーーー痛い」


「なに黄昏てるのよ」


と、お初に蹴られた。


暴力的な義理妹だ。


「美しい物は理由なく感動する物だろ」


「そうね、伯父上様は美しいわ。すべてを包み込む大海のような心がありながら時として荒れ狂う、それが織田信長」


と、どことなく冷めた目で見ていた。


「マコ~今日は、お料理ないの?」


と、お江が走ってきた。


「今日は俺も来客として呼ばれている身だからね」


「そっか~、でも、もうすぐ毎日食べられるから良いか」


「え?」


毎日、食べられるってなに?


今でもほぼ毎日、来ているのに意味深な気がする。


聞こうとすると二人とも菓子が用意されていると言われそちらに走っていった。


我が妻、茶々はと言うと、来客にお茶を点てていた。


美味いだろ、毎日、俺に美味いと言わせるために必死に点ててるお茶だぞ~と、なぜか不思議と自慢がしたくなった。


風に舞い散る桜吹雪をバックに茶を点てる美少女、茶々を写真に残したくなりついつい、いまだに起動してくれているスマホで一枚隠し撮りをした。


袖の影に隠して見られないようにしながら。




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