第850話 飛んで真琴
◇◆◇◆時間が少しだけ戻って◇◆◇◆
「お初、艦隊の指揮は一度任せる。俺は飛行機で偵察をしてくる」
と、指示をするとお初は佳代ちゃんの肩を叩いて、
「真琴様を落としたら承知しないんだから」
と、言っていた。
お初は幾度も共に艦隊戦をくぐり抜けてきたため、茶々より適任なので仕方がない。
飛び立つと、
「うわうわうわうわうわう、すげー流石佳代ちゃん、めっちゃ静かな飛行機じゃん」
「でしょ、こんなことだって出来るんだから」
と、宙返りをした。
「うっ、やめて、酔う・・・・・・おぇぇぇぇぇぇぇ」
と、もどしてしまった。
「ちょっと、真琴君、大丈夫?」
「うっ、きついけど、イズミールに飛んで、早く情勢を確かめないと・・・・・・おぇぇぇぇぇ」
と、飛び続けて貰うと幸村の艦隊がイズミール近くまで進んでいるのが見えた。
モールス信号で電令を送り、俺が上空にいることを知らせると、幸村は『落ちないで下さいね』と、返事が来た。
「真琴君、イズミール上空だけど攻め込んできているの大軍だよ」
と、下を見るとイズミールが包囲されているのが見える。
今回少々後れを取ってしまったようだ。
幸村の艦隊に全速力で進むよう指示を出し、艦砲射撃を命じた。
イズミール陥落前に間に合ったようで、包囲していた敵の軍が蜘蛛の子を散らすように右往左往している。
『アメフトス陛下、保護いたしました』
と、宗矩から電令が届いた。
間に合って良かった。




