第846話 石田三成
「殿、アナスタシア・リュリークから内々の使者が来ておりますがいかがいたしましょう?」
と、家臣が聞いてきた。
「会う必要もない、斬れ。斬って首を常陸様に送れ」
「よろしいので?」
「話の内容などわかっておる。裏切ってクリミア王国側につかぬかと言う話だろうが、秀吉様は絶対に裏切らぬ。それほど常陸様への借りがあるからな。また、女王陛下も国の再興という悲願を常陸様のおかげで叶えられた。裏切るはずがないであろう」
我が主、羽柴秀吉様は常陸様からいただいた精力剤のおかげで子が出来た。
その事は大きな借りであり、羽柴秀吉様にとっては何事にも変えられないこと。
その殿が裏切るはずもなく、このような誘いが来たら間違いなく首をはねるだろう。
「年端もいかぬ、若い娘が使者ですが」
「くっ、なるほど、そうきたか。ならば捕らえ、そのまま常陸様の所に送れ」
「よろしいので?」
「常陸様は利用されているだけの者の首など取ってもお喜びにはならない。生きたまま送れば、あとの処断は御自身でお決めになるだろう」
「では、そのように手配いたします」
「主要な街道に関所を設け、怪しき者は引っ捕らえよ。スロバキア王国は常陸様と共に動く。クリミア半島の甘い口車などの乗せられる者など、この三成が許さん」
と、家臣達に厳命した。
すると、王都からやはり伝令が来た。
スロバキア王国は常陸様と同調し、オスマン帝国と共に黒海周辺の制圧をすると言うものだった。
常陸様が描いた世界地図の複製を見ながら、ルーマニアと書かれた地に進軍を決めた。
長い戦いにならないと良いが。




