第83話 大津城築城視察・神社
「御大将、城に主神を御迎えしたいと思いますがいかがでしょうか?」
と、氏郷が安宅船に向かう道すがら言った。
「主神?神社ってこと?」
「はい、地元の神と御希望の神がおられましたら奉りますが」
本丸天守の最上階に神棚があったり城の郭の中に小さな神社があったりするあれか?だったら、選択は簡単。
「鹿島神宮からの分社をお願いしてもらえるかな?武御雷を主神としてお祀りしたいけど大丈夫かな?」
「神社なら問題なきかと」
「ん?問題ある場合ってあるの?」
「えぇ、比叡山がすぐ近くですから、もともと、坂本の城は西近江を治めるためと、比叡山を監視するための城でした。この度、破却されこの大津に新しい城が築かれるわけですから、比叡山の監視や僧兵との事も考えねばなりません。南蛮の神を入れれば、いらぬ争いになるかと」
比叡山の押え?根本中堂全部焼き払ったわけでわけではないようで、今だに寺としては存在するらしく、また、武装しないかと見張らねばならないらしい。
いやいや、そんな重要な場所を俺に預けて良いのか?と、疑問が出てしまう。
織田信長は無駄なことはしない。
なにか、考えがあるのか?
俺が鹿島神宮を崇拝していることに関係があるのだろうか?
機会があったら聞かなければ。
と、思いながら安宅船に乗った。




