第825話 初音ミコ?
「御大将、ロシア皇帝から使者が来ております」
と、柳生宗矩が知らせてきた。
前田慶次情報で人質が来ることは予想していたが、なかなか早く来るもんだと感心した。
「会うしかあるまい」
と、広間に行くとなんとも、はかなげな印象を受ける白い肌、腰より長い金髪の華奢な女性がペルシャ絨緞の上で慣れない正座で、もごもご動きながら頭を下げて待っていた。
「宗矩、椅子を出してあげて」
「そんな、私なんかにお気遣いしないで下さい」
やはり、日本語は流暢なのね。
世界の共通語が日本語になる世界とは、なんとも便利だ。
それを広めているのは、俺が各地で運営する学校の影響力なのだが。
「まぁ、正座は慣れないとキツいでしょうから」
と、念のため通訳にと同席したラララが言う。
ラララも正座は苦手なので気持ちがわかるのだろう。
運ばれてきた椅子に座り直す使者。
「黒坂常陸守真琴だ、遠路、使者の大役ご苦労。御用向きは?」
・・・・・・うわ、可愛い・・・・・・髪を緑に染めたら初●ミクそっくりになりそう・・・・・・。
「私はロシア帝国の伯爵ミコライフの娘、ムィロースラヴァ・ミコライフと申します。先ずは、ロシア皇帝からの御見舞いと書状を」
「ムイロロースラヴア・・・・・・」
「御主人様、ムィロースラヴァ・ミコライフです。確か和の名誉を持つ女とかの意味ですよ」
と、ラララが教えてくれる。
ロシア圏の名前は、なかなか言いにくいし聞き取りづらい。
「ゴホン、失礼ながら、ミコと呼ばせていただく」
「私なんかの事は好きに呼んでいただいて大丈夫です」
と、なんともか細い声で小さく言った。
ロシア帝国皇帝からの手紙には、襲撃とは無関係である主旨が強く書かれ、その身の潔白として伯爵の娘を養女にして俺に嫁がせたいと書かれていた。
見舞いの品として、黄金で装飾された見事なサーベルと、消毒用にも使えますと蒸留された強い酒が、瓶に入れられ木箱に大量に入っていた。
ウォッカか?それより・・・・・・。
「ミコ、君が俺の側室に?」
「はい、私なんかが恐れ多いですが、どうか御側において下さい」
「ん~・・・・・・側室は、もう増やすつもりがなかったんだけどな・・・・・・」
と、考えていると茶々が部屋に入ってきて、
「取り敢えず人質として、お預かりしたらいかがですか?別に真琴様が側室にしなくても」
「あぁ、そうだね。前回ちょっと不快になる人が来たけど、君なら大丈夫そうだし、人質として受け入れよう」
と、答えると、
「私なんかが、おいて貰えるなんてありがたいことです」
と、言う。
ん~この子はどういう育ちをしてきたのだろうか?少し気になる。
俺から見れば可愛い容姿だし、印象的にも悪くないのだけど。
「うちでは、正室、側室であろうと、それぞれ働いているからね。人質としてここで生活する以上、ミコにも働いて貰うよ」
と、言うと、今日一番の笑顔で、
「はい」
と、返事が返ってきた。
「私、作物を育てるのが大好きなんです。だから、そういうお仕事をって、ごめんなさい。私なんかがわがままを言っては駄目ですよね」
と、笑顔は消えていた。
「うちの側室に小滝と言う者がいてな、薬草を育てている。一緒に働くが良いだろう。茶々、そのように手配してくれ。ロシア帝国皇帝には人質として預かることと、今回の件は疑っていないと手紙を書く」
と、言って退室した。
ロシア帝国、よほど俺を恐れているな。
そこまで恐れていて、失敗しそうな襲撃はないだろう。
やはり、オスマン帝国でなにかくすぶりだしているのか・・・・・・。
それともヌルハチ?
平和を愛せない者は、いつの時代にもいる。
それが敵なのだろう・・・・・・。
しかし、可愛い子だなぁ~。
コスプレさせたい・・・・・・。
ちょっと作らせてみるか。




