第79話 大津城築城視察・受雷神槍
桟橋に接岸していた安宅船、先にお江達は幸村とその下の家臣を連れて降りたらしく俺と茶々、力丸と宗矩が降り立つ。
今日も慶次は留守番と言うか、安土屋敷留守居役に任命したので俺が大津城に住んでも慶次には安土屋敷に居て貰う。
俺の家臣の中で年長であるため留守居役と言うのは本人も半ば諦めている。
俺は桟橋に降り立ち見上げた天守には指示した通りに、俺が提案し信長が『受雷神槍』と名付けた避雷針が屋根に高々とそびえ立っていた。
しかも、よく見ると龍が天に登るような装飾がしてある。
短期間でよく作れるものだと感心してしまう。
出迎えた氏郷。
「龍が良いね」
って感想を言ってあげると、
「鯱を鯉に見立てました。滝を昇る鯉は龍になると言う伝説がありますから縁起がよろしいかと」
魔除けやら風水?鬼門除けやらで屋根瓦に陶器で作った鍾馗様やら桃やら、いろいろ乗せる風習があるのは知っているが龍が装飾されるのは神社みたいでなかなかかっこよい。
ただ、避雷針としての役目が果たすよう作られていなければ意味がないわけで天守に近付いて見ると、指示した通りに銅製の鎖が地面に繋がっていた。
念のため鎖を引っ張ってみるが抜けず、しっかり地面に埋めてあるみたいだ。
形としてしか俺は知識がないので避雷針として正解なのかはわからないが、これなら流石に雷も地中に行くだろうとは思う。
鎖を引っ張ってみる俺に氏郷は、
「抜けぬようにしっかりと三尺以上は地中に埋まってます」
と、言う。
確か一尺は30cm弱な筈だから1メートル近くは入っていることになる。
これなら台風でも抜けないだろう。
琵琶湖に突き出した形の大津城、周りには高いものがないので雷の格好の餌食。
せっかくの城なのだから燃やしたくはない。
前回は出来てなかった櫓の鯱も指示通り銅製で作られているらしく、まだ酸化していない為、黄金に輝いていた。
それにはやはり銅製の鎖が地面に繋がっていた。
新しい日本の城の設備を完成させてしまったようだ。




