第793話 スロバキア王国執政
「先ずは私の体液からどうぞ。絞りたてですよ」
と、バードリ・エルジェーベトは言うが、隣で加藤孫六嘉明は、
「トマトを搾った物で御座います」
と、言い換えている。
「あぁ、もう、なんか美味しそうなトマトジュースなのに・・・・・・」
コップに注がれた赤い液体を指で軽く混ぜ確かめるようにして舐めると、間違いなくトマトジュースだった。
「私が丹精込めて絞ったのだから、体液となんら変わりないわよ」
「うっ、ううう、もうそれ良いから」
と、ため息を出すと、
「あら、美味しい」
と、桜子は喜ぶ、
「お口に合ったなら、いくらでも出しますわよ」
と、バードリ・エルジェーベトは喜ぶと、お初とお江は目を細めて睨んでいた。
茶々は、
「愉快なお方」
と、ウケている。
「常陸様、オルショリャとの子は元気ですか?」
「うん、それは安心して。菊理とオルショリャは元気だから」
「そうですか、私の孫は元気ですか。良かった」
と、ホッとした顔は母親の顔だった。
「秀吉殿との子、おめでとうございます」
と、言うと、
「ありがとうございます。これも常陸様が手配して下さった方々がいてこそでした。もし、いなかったら無事には産めませんでした。常陸様にはこの体で払っても払いきれない恩義が出来てしまいました」
「うん、体はいらないからね」
と、返事をすると酸っぱい顔を見せられてしまった。
「しかし、この御恩を我が主も返したいと申しております」
と、加藤孫六嘉明。
「秀吉殿は今は、パナマ運河工事をしているんだよね?なら、それで十分。羽柴家の後世まで続ける大事業として継続してくれればそれで良いから」
「ですが、それとこれとは話は別に御座います。どうか当家に出来る事を何なりとお申し付け下さい」
「そうよ、常陸様。あの猿に遠慮なんかいらないんだから」
「バードリ、確かに秀吉殿は猿顔だが、そうそう猿猿と自分の旦那を言ってやらないでくれ。なんか、心が痛いから。もともと、一つ頼みがあって来たのだけど、それをお礼として貰おうかな」
「なに?女?さっきの女の中に気に入った子いた?聞いてあげるわよ。常陸様の側室にならないか?って」
「うん、それはもう良いから。女を差し出すとか言わない所は偉いよ。それより、小さくて良いから拠点となる城を貸して欲しいんだよね。それとスロバキア王国国内通行の自由」
「あははははははっ、鬼才天才として名高い常陸様は忙しさのあまり、ご自分の地位をお忘れですか?常陸様は我が国が形なきときから執政ではありませんか?」
「あっ、あぁぁぁぁぁ、あれ、そのままだったね。もう肩書き長くし過ぎてたまに忘れるよ」
「もうろくするには、まだ早すぎますよ。石田三成がブダペストにおりますが、そのあたりはいかがでしょうか?」
「石田三成も東を見ている?」
「さぁ、どうでしょう?ただ、旧勢力には警戒しております」
「なるほどね。そこは流石に石田三成と言ったところか。取り敢えずは、しばらくここに留まらせて考えさせて貰うよ」
「どうぞ、お好きなだけ泊まって下さい。私自慢のお風呂に浸かってね。ふふふ」
と、話が一段落するとバードリ・エルジェーベト女王は旅のほこりを流すように勧めてきた。




