第726話 樺太城大手門・萌熊萌狼美少女門
案内された樺太城の城下では、アーチ型の倉庫やドーム型の住居が建ち並び、平成の時代でも見ることのない景色になっていた。
雪が降り積もる大地にある町は、まるで南極大陸にでも基地を作ったかのようになっていた。
「おもしろい風景ですね」
と、茶々が言うので
「この大地は冬が長く、風・雪対策をしないとならないからな」
「本当に日本列島なのに、こんなに違うんですね」
「南北に長いからな、気候区分その物が違うんだよ」
「気候区分?」
「大きく分けると蝦夷地から奥州北部の亜寒帯、日本列島のほとんどが温帯、南の島々の亜熱帯の3つにわけられるんだよ」
と、馬車の中で茶々に説明すると、
「ふふふふふっ、真琴様、今では日本は世界中にありますよ」
と、笑っている。
「いろいろな土地のいろいろな景色が見れる。本当に楽しいですわ」
「俺もまだ見れてない物が多いから、楽しみだ」
「あら、真琴様は世界中を巡ったと思っていましたが?」
「ほんの一部だよ。あれやこれや、見たいものはまだ見れていないし」
と、そんな会話をしていると樺太城の大手門が見えた。
見えた・・・・・・?
「なんじゃこりゃー」
寒いと言うのに冷や汗が噴き出る。
門戸の右戸には萌美少女化して鮭を豪快に咥える熊娘、左戸には蝦夷兎を豪快に咥える萌美少女化した狼娘。
門の上の装飾はどことなく見たような光景が。
「父上様が人食い熊を一刀両断にした時の話を聞きまして、彫刻にした次第にございます」
初めて樺太の地に来た時に倒した、ジダンと名付けられていた人食い熊。
それを俺が太刀で右腕を切り落とし、とどめを後ろから柳生宗矩が心臓を一突きにし倒した。
それが彫刻されていた。
彫刻師は、左甚五郎の弟子だと言う。
萌装飾が継承されていく文化となったのを理解する。
「まぁ~、臨場感ある彫刻で良いですわね。萌と語り継がれるような出来事の融合された門とは。氏琴の感性の良さが出ていますね」
と、茶々が褒めると氏琴は、
「大母上様に子供の頃、皆と分け隔てなく育てられたから今があります」
と、返事を返した。
茶々は、茨城城で側室達の子も我が子同然に扱い教育してくれた。
そのおかげで兄弟仲がよい。
「茶々、俺からも改めて礼を言う。ありがとう」
と、言うと茶々は照れていた。




