第720話 子供達
翌日、常陸藩に住む子供達は集まった。
信琴、仁保・那美・高琴・八千・カーネ・ラカ・猿田。
「信琴、留守居ご苦労であった。これより茨城城に入り、茨城城城主を命じる」
「えっ?父上様は?」
「そうだな。時が来たら常陸国に館くらいなら建てるかもしれぬが、今は良い。信琴、常陸を任せる」
「かしこまりました。今よりも発展した、皆が裕福に暮らせる国づくりに専念いたします」
と、答えた。
「仁保、那美は嫁いだ先の繁栄を考えよ」
「「はい、父上様」」
「高琴は佐倉城に入り、佐倉城主とし、信琴を支え続けよ。八千、医学を勉学しているのだな?」
「はい、人々を救いたく。その為、輿入れは・・・・・・」
「うむ、結婚など考えられないか?また、それも人生。八千が望むのであれば構わぬ」
と、答えると八千は安堵のため息を漏らしていた。
「八千、俺の側室の佳代がおそらく医療技術では最高な物を持っている。一緒に欧州に来るか?」
「はい、是非とも行きとうございます」
旅の支度の準備に取りかからせる。
「カーネ、ラカ、自らが好いた者が現れたらそのものと結婚するが良い。それまでは、信琴の所に来る異国人の通訳をし、補佐を頼んだ」
「はい、父上様」
と、カーネは元気に答え、ラカが口ごもった。
「あの、黒肌弥助様の孫の菩武様との婚姻を認めていただけないでしょぅか?」
黒肌弥助は織田信長の側近の黒人だ。
小笠原諸島を領地として小笠原藩領主をその子がしている。
船の取引などで孫の菩武は度々訪れ仲良くなったという。
「信琴、信忠様にちゃんと申請を出し、承認をいただき良きになるように働いてやってくれ」
「はい、父上様」
ラカは喜んでいた。
「そして、猿田。元服を命じる。猿田之介琴彦と命名する。俺とともに欧州に付いてこい。桃信をオーストラリアに置くから琴彦には欧州イバラキ城に入って貰う」
「はい、父上様」
琴彦には、いずれは欧州イバラキ島を任せようと考えている。
「良いか、兄弟姉妹、皆それぞれが違うところに行こうとも驕り高ぶることなく、民のことを考え民と共に暮らすことを考えよ。消して特別な階級として生まれてきたわけではない。同じ人間なのだ。たまたま、俺の子として生まれ学ぶ機会が多かった。学ぶ余裕があっただけのこと。その学んだ知識で、民という仲間を幸せに出来ないかを考えよ」
子供達は、大きく同意の返事を返してくれた。
俺はこの子達を育ててくれた茶々に改めて礼を言った。




