第709話 困った時は松様
『マツサマ タスケテ クダサイ』
『ソクシツ ニンシン ツヅキデ ヒトデガ ホシイデス』
と、ドイツ藩の城があるベルリンにモールス信号を送ると・・・・・・送ると、
「えっ!もう来たんですか?」
松様は一週間で欧州イバラキ島に駆けつけてくれた。
「だって、出産なんですよね?」
「えっと、出産はもう少し先なんですが・・・・・」
確認すると、モールス信号機はやはり突貫工事での設置のため二文目が上手く届いていなかった。
「まぁ、良いでしょう。私ほど出産の経験のある者が常陸様の知り合いにはいないでしょうから、出産まで立ち会ってあげます。常陸様はなにかと忙しい身ですからね」
と、いつものように男勝りに腕まくりをして手伝う意欲を見せてくれる松様は心強い。
前田松様は初産は12歳、そこから32歳まで二男九女を産んでいる。
出産は慣れている。
「良いんですか?ベルリンは?」
「良いんです。利家殿は毎日毎日、算盤はじきばかりでつまらないので。治世はもう若い者に任せていますから。常陸様のそばの方が美味しい物を食べられるし」
と、涎をすすった。
うっ、なにか新しい料理をごちそうしないと・・・・・・。
「真琴君が、出世したのって胃袋を掴んだからって話、本当なのね」
と、佳代ちゃんは関心していた。
そうだ、佳代ちゃんに平成の終わりに流行った物を作らせればどうだ?
「佳代ちゃん、平成の終わりに流行った食べ物ってなに?」
「タピオカだよ」
「・・・・・・タピオカ?」
「え?知らない?見た目は蛙の卵に似ているスイーツ」
「何それ?蛙の卵?蛙?ガマ蛙?筑波山の新たな名物?」
「蛙の卵っていうのは見た目だけね。筑波山のガマの油とは無関係だよ。あははははははっ、南米原産のキャッサバっていう食物のデンプンで作る物で、そうだね~真琴君ならナタデココを想像すればわかるんじゃないかな?あんな感じの食感で黒い丸い玉なの。それをミルクティーに入れて食べるのが流行ったんだよ」
「あ~知ってる。ナタデココ、美味しいよね~」
「ナタデココは、めったに見なくなっていたけどね。ナタデココのほうが味があるかも。私もタピオカはさほど美味しいとは思わなかったから、製法までは調べなかったから。作られた流行だった気もするし」
ん~南米原産の食物なら手配すれば手には入らなくはないが、製法を知らないと・・・・・・。
今あるもので何か作らないと・・・・・・。
なにかないだろうか・・・・・・。
ナタデココの前って何か流行った様な・・・・・・。
あっ!




