第689話 磯原佳代4
私はついに来た。
欧州イバラキ島と名前を変えた地中海の島。
真琴君らしい命名。同じ茨城県民として素敵な名前だと思う。
美しい日本城郭が今、目の前にある。
地中海にそびえ立つ日本伝統の萌え装飾が施された天守。
惚れ惚れするわ。
物見櫓と思われる場所からキラリと太陽の光が反射したのが見えた。
私はその方向を私が改良した望遠鏡で見る。
・・・・・・真琴君・・・・・・。
間違いない。真琴君。
真琴君、私が来たと知ったらどんな顔するだろうな?
やっとよ。
やっとここまで来た。
17年、よく頑張ったわ私。
萌香ちゃん達に
『マッドサイエンティストなストーカーだよ。そんな一か八かのことをしないで、佳代ちゃんの頭脳で宇宙旅行に自由に行ける船とか作ろうよ』
って、言われたけど、私にはそんな物は興味がないの。
真琴君に会いたい、真琴君と話したい、真琴君の匂いを嗅ぎたい、真琴君の味を知りたい。
あ~真琴君。
早く私を抱きしめて。
三十三間堂の千手観音様達の前で愛を叫べなかった私の悔いは、後悔は、やっと消える。
あの時愛を叫べなくて、地下の御本尊様に『萌香ちゃんに取られるくらいなら真琴君を消して』ってお願いしてしまった私の後悔。
真琴君は私を許してくれるのかが心配。
大丈夫、きっと優しい真琴君なら・・・・・・きっと大丈夫。




