第669話 娯楽文化大革命・漫画
1610年 秋
常陸国立茨城女子学校歌劇団は、前田利家軍と合流するべく2万の軍勢を引き連れた伊達政宗家臣・鬼庭綱元と共にパリに向かった。
芸術の都の名はまだないものの、ヨーロッパの中でも有数に発展した町で常陸国立茨城女子学校歌劇団はジブラルタル城下と同じ演目で上演すると、満員御礼状態が続いた。
その知らせの手紙を満足げに読んでいるとお初が、
「未来での娯楽って言うのも、ああいった物なのですか?」
「ん~演劇は続くし能や歌舞伎は日本伝統芸能として受け継がれるけど、主の娯楽と言うと違うかな?テレビって言って映像を映す機械が一家に一台必ずあってそれを見るのが生活に溶け込んだ娯楽なんだよ。天気予報や世界各地の事件も報じたりするから、娯楽だけではないんだけどね。俺はこの絵が動くアニメって呼ばれる番組が好きだったんだよ」
と、金髪ロリペチャパイ最強吸血鬼ヒロインと、巨乳の水色の兎耳の性格がちょっと残念なヒロインの絵を見せるとお初は、
「やっぱりか~」
とジト目で見ていた。
お江は、
「マコ~それ見たい」
と、お江は興味津々。
「ん~流石にアニメって機械を作る所からになるから出来ないかな。あっ、漫画なら可能だけど」
と、即興で漫画を書いてみせる。
登場人物に吹き出してセリフを入れて、
「マコ~、これ凄い良いよ。版画でいっぱい刷らせて広めてみたら?」
「それも悪くはないかな。だけど、俺そこまで暇じゃないぞ」
「うん、大丈夫。学校でマコの絵好きな子達多いから、マコがお話しを書いてくれれば私が監修して作らせるよ」
「そうか?物は試しだから書いてみるか」
「ちょっと待ってください。真琴様、美少女が活躍する物語を書く前にそれで、伴天連の間違った思想を指摘してみては?」
萌えを警戒しているお初は提案してきた。
「ん?地球が回っているとか、魔女はいないとか?」
「はい、その漫画を作って広めたらどうでしょうか?」
「良いね、それ、悪くはないね」
活版印刷の普及で本は出回るようになっているが識字率はさほど高くはなく、イラストの重要性は高い。
うちの学校で使っている、平成では当たり前とされる知識を教科書にした物をイラストにして漫画チックにすれば、文化侵略が進むと言うのも期待できる。
「お江、任せられるか?」
「うん、大丈夫。マコの書く美少女達を上手く使いながら書かせてみるよ」
と、学校の生徒達に書かせ始めた。




