第608話 真琴様は名乗りたい2
血抜き殺人事件は学校生徒が結局5人被害に遭い、お初が厳命として外出禁止令を出した所で生徒から町人に刃は向けられ、被害がエスカレートを始めていた。
柳生宗矩は兵士達を町中に出し、裏柳生も出したがなかなか犯人の手がかりをつかめずにいた。
巷では「血抜きの悪魔」の名で噂になり出していた。
俺も気になりだし、夜中お忍びで童子切安綱の太刀を帯刀し市中に出る。
目立たぬよう紺色の羽織袴姿で。
路地裏など人気の少ないところを見計らっては歩く。
「払いたまへ~清めたまへ~守りたまへ~武御雷大神よ力を貸しあたえたまへ~・・・・・・」
呪文を唱え大麻という神聖な植物の繊維から作った人型の呪符を飛ばして、その飛んでいく方に。
何も見つからない日が10日ほど過ぎた満月の夜の狭い路地裏。
呪符が勢いよく飛んでいくと路地を曲がった所で、血の濃い臭いが鼻に付いた。
その先に見えたのは、顔を黒マスクで隠したゴスロリに黒光する杖と夜中なのに黒い日傘を持つミスマッチ過ぎる人物と、枯れ果てた血の残りが出ている若い女性と思える遺体だった。
「貴様、そこでなにをしている」
「ちがうわ、私はやってない、私じゃないの。私は見回りをしていただけなのよ」
ゴスロリ覆面は意外にも流ちょうな日本語を口にする。
「問答無用、大人しく付いてきて貰おう」
と、俺は童子切安綱に手を置き抜刀の構えに入るとゴスロリ覆面は傘を投げ捨てると杖の持ち手を右手に取ると素早く抜いた。
仕込み杖だ。
月の光に輝く綺麗な仕込み杖の刃・・・・・・。
と、
「おい、お前等なにをしている」
と、5人組の見回り組隊士が見えた。
と、気を取られているうちにゴスロリ覆面は走り出していた。
「あっ、くそ逃がすか」
と、追おうとすると見回り組隊士が夜空に向け一発銃を撃った。
「止まれ、止まらないと撃つぞ」
見回り組隊士を殺す訳にもいかないので納刀して刀を渡し俺は詰め所に連行された。
「おいおい、名前を言えと言っているんだ」
見回り組隊士の一人が尋問してきた。
「名前は言えない。言えばお前達に迷惑がかかる」
「ははは、ふざけているな、叩けば埃でも出てくるような名前か?」
・・・・・・。
「たっ、たっ、たっ、たっ・・・・・・隊長大変です」
と、尋問室の外から隊士の一人が床に頭をこすりつけてドアを開けた。
「なにを馬鹿な事をしているんだ」
と、尋問していた隊長と呼ばれる人物。
「かかかかかかかかかかかかか、刀・・・・・・刀・・・・・・・童子切安綱です」
「馬鹿を言え、童子切安綱と言えば右大臣様の刀・・・・・・」
と、俺の顔をろうそくの光をあてじっくり見ると、隊長はろうそくを床に落として倒れ込んで床に額を押しつけていた。
「帰るぞ。お主達は名前を知らないどこかの武士を取り調べた。良いな」
「はっ、はい、はい、申し訳ありませんでした」
「名は言わぬ。言わぬからわかるな?誰かが責任をとる必要はないという事だ。引き続き「血抜きの悪魔」の捜査たのんだぞ」
「はっ、はい」
俺は童子切安綱を受け取り、城に戻った。
浅●光彦かよ・・・・・・。




