第604話 フランス王アンリⅣ世と裏柳生
「宗矩、裏柳生を集めてくれ」
ジブラルタルに戻ると戦車のことは、伊達政道と左甚五郎に任せ柳生宗矩を部屋に呼び出す。
「暗殺ですね?誰です?ローマ教皇?」
「おいおいおいおい、まだ殺すなよ。警護任務を頼みたい」
「上様ですか?あそこは大丈夫かと」
「いや、フランス王アンリⅣ世の警護だ。確か、暗殺されるんだよ。で、幼い息子が跡を継ぐことになる歴史線を知っている」
「なるほど、そこでアンリ公をお守りせよと」
「そう言うことだ。フランスをイスパニア藩のヨーロッパの国々からの緩衝材の役割を持たせようと思う」
平成時代、日本は、中国・ロシアの共産圏との間に韓国があったように緩衝国をもうけたい。
カトリックとプロテスタントが共存する国家を置くことに意味は大きい。
イスパニア藩は日本国として完全信仰自由を取り入れている、そしてジブラルタルが交易港として発展することで多国籍人種が集まってきている。
学校の生徒もそうだ。
「プロテスタントとカトリックの争いは日本国の一向宗と比叡山の違いみたいな物と理解してよろしいので」
と、聞いてきたので、
「それに近いな。旧仏教と新仏教の違い的な」
解釈が間違っているかも知れないが、釈迦如来を頂点に信仰している仏教と同じ構図と言って良いだろう。
ただ、仏教も多神教に近く、信仰の対象の仏が複数いる。
神道と溶け込みやすかったのも多神教だからだろう。
キリスト系は基本的には一神教なので相容れない。
これは俺の勝手な解釈で宗教学を学んでいるわけではないので不正確な事かも知れないが。
「宗教で戦争をする・・・・・・つくづく馬鹿みたいだな」
「ははは、陰陽師である御大将がそれ言います?」
と、宗矩は珍しく笑っていた。
「警護の件しかと申し受けました。が、戦争を回避したいなら、暗殺も考えてみてはいかがでしょうか?御大将の命を狙う者は多くこちらで始末しておりますが、目には目を歯には歯を、こちらも暗殺者を出してみては」
「いまは、それは考えない方向で。ただ、ハプスブルク家に目を光らせてくれ。必ず制海権を取るために動くはず」
「わかりました。草を放っておきます」
草とは町に溶け込みながら情報収集するスパイの事だ。
柳生宗矩は手練れの家臣を10名フランス王アンリⅣ世を陰ながら守る役に送った。




