第590話 東洋女剣士とエルフ剣姫
道場で、胴と軽量化された兜を装着する2人。
お江がミライアのを手伝っているとなんとも動きにくそうだ。
やはり慣れない胴だと剣技に影響が出そうで、
「マコ~、あのビキニアーマーで良くないかな?」
と、お江は気に入ってくれた冗談のつもりで作ったビキニアーマーを持ってくる。
「ん~、まぁ~危険と判断したら宗矩、すぐに止めてくれ」
「御意」
審判がちゃんといるのだから大丈夫だろう。
「わかっているわよ、手加減するんだから、防具で動きにくくて負けたなんて言わせないわよ」
と、お初も言うので任せる。
ビキニアーマーを装着したミライア、うん、ヤバし!
めっちゃエルフ剣姫じゃん。
夏のコミケでカメラマンに囲まれローアングルで撮影されまくりそうだ。
ミライアは無言で突きの素振りを始める。
空を斬る音が道場に鳴り響く。
「速い、これはなかなかの筋だぞ」
と、宗矩に言うと宗矩もゴクリと唾を飲み込み頷く。
お初はその素振りを見て太刀の長さの柳生竹刀から、小太刀の長さの柳生竹刀を両手に持ち替えた。
お初は柳生宗矩だけでなく、新免無二にも手解きを受け、小太刀二刀流を編み出した。
女性として筋肉に劣る部分を軽い小太刀二刀で補う剣技を編み出した。
今では俺の稽古も俺が本気を出さないと一本取るのが難しくなってきた。
そんな、お初とミライアが竹刀を構えて対する。
「始め」
宗矩の合図で素早く動いたのはミライアだった。
竹刀を左手に持ち替えたと思うと鋭い突きをお初に向け連打する。
左片手一本突きの連打は牙突と言うより猫パンチのようだ。
軽い速さで鋭く突きの連打。
なるほど、一撃では仕留めなくても連打で相手を仕留めるわけか。
お初はその連打される突きを二刀の竹刀で防ぎながら間合いを詰めていくと、蹴りを繰り出した。
すかさず一足飛びに後ろに下がるミライア。
互角な戦いに決着が楽しみだが、
「それまで!」
と、宗矩が止めた。
「ん?どうした?今くらいでは大丈夫なのでは?」
「御大将、お二方は互角、このまま続けさせるのは危険と判断します。両者引き分けとします」
柳生宗矩が言うのだから間違いない。
腕試しの試合で怪我をされてもと思い、俺も頷き納得の合図をすると、お初は悔しそうにしていた。
「仕方がないでしょう。このような剣技だと思っていませんでしたから。なかなかの腕、認めましょう」
と、竹刀を納めた。
「はいはいはいはい、私もやりたい、マコ~」
と、お江が言う。
「お江が?」
「マコ~、私の軽業で異国の人に対抗できるのか試してみたいの」
お江は、前田慶次や真田幸村のくノ一や、柳生宗矩の裏柳生の隠れ道場に出入りしていた為、ほぼくノ一。
くノ一と、エルフ剣姫の戦い、見てみたいという好奇心から、
「ミライア、もう一試合良いか?」
「・・・・・・私は大丈夫」
と、言うのでお江に許可した。




