第585話 ガリレオ・ガリレイ
前田松達に続いてガリレオ・ガリレイが着任した。
学校の教師として呼び寄せた。
すると、同じように地球は回っていると考える学者も10名ほど一緒に付いてきた。
どうやら俺の保護下に入りたいという事だ。
バチカンはあの後も地動説を認めようとしていないため、異端者として迫害や処罰の危険性がある。
ガリレオ・ガリレイは以前、俺と出会い後ろ盾となっているためバチカンも下手に手出しを出来ないという状態。
その為、同じ思想を持つ者が自然と近づきこのようになった。
数学などの授業を頼む。
「ひた~ちさまの言う通りに、望遠鏡をかいぞ~うしたら、目がいたま~ず、太陽のかんそ~くができま~す」
と、なんとも不思議な日本語をマスターしてしまったガリレオ・ガリレイが残念だが、間違いなくこの時代では天才の人間。
それが、仲間になることは頼もしい。
「太陽の黒点が減少すると、寒冷化すると言われていますね。近々減るんじゃなかったかな?」
と、テムズ川が凍ったと言う江戸初期のマウンダー極小期の知識を口にしてしまうと、
「おふっ、それが~あ、ひた~ちさまの、不思議~な、ちからと言うので~す~か?」
「あっ、やば」
と、言うと、隣の部屋に控えている佐助が襖を開けて、
「ガリレオ殿、御大将の言葉の謎の追究は禁物にございます」
と、一言言って襖を閉めると、ガリレオ・ガリレイは両手を合わせて、
「ごめん~なさい、ごめん~なさい」
と、謝る。
「気にしないでください。ただ説明が出来ないのでご理解いただければ。それより今回、同行した方々で錬金術に長けた者はいませんか?」
「錬金術?」
俺は錬金術師を求めている。
勿論、土噸術のような物を使える兄弟などではなく、合金や薬品製造に長けた者を指す錬金術師だ。
「なぜに~です~か?」
「重曹を生成して貰いたい。今は海藻を燃やした灰から取り出しているが、それでは足りない。石けんを安価な物にするためにもっと効率的に作りたい」
流行病対策を法度として整備するようにした案を織田信長に出したところ「石けんが高価で一般庶民が使えん。未来の知識で安く多く作れないのか?」と、手紙がマドリードから来た。
石けん製造にはアルカリ剤が必要な知識は一応持っていた。
母が手作り石けんを作っていたことがあるからだ。
そして、俺は茨城のソウルドリンクの炭酸ジュース『ドクペ』製造を諦めていない。
と、なれば重曹を作り出したい。
残念ながら重曹の生成方法までは知識にない。
「おふっ、わかり~ました。なかま~に聞いてみま~す。です~が、懸賞金などかけ~て、製造させた~らいかがですか?」
「おお、なるほど、その手があったか」
なにか新しい物を作り出すときは俺が作り出すか、もしくは、俺の知識を伝えて家臣やお抱えの鍛冶師や大工集団に開発を頼んでばかりいたが、公募をする事も可能なのだと気が付く。
必要としている物を公募で作らせる。
良い考えだ。
「よし、重曹大量製造法開発者に懸賞金を出す。宗矩にすぐに高札を各地に出させよ」
襖が少し開き、佐助が
「はっ、すぐに手配致します」
と、返事をしてはまた襖を静かに閉めた。
『石けんの製造に使える重曹を大量に作れる製造方法をあみ出した者に、一両小判1000枚(100000000円)を与える。日本国・右大臣黒坂常陸守真琴』
『微弱な雷を人工的に連続的に発生させる装置をあみ出した者に、一両小判1000枚(100000000円)を与える。日本国・右大臣黒坂常陸守真琴』
この高札が各地に設置された。




