祝・令和元年特別SS
《タイムパラドックスにより私たちが知る世界とは全く別の世界線の、日本の令和元年五月一日。タイムパラドックスと言う不確定な物で連続した時間線なのかも不明な世界。語り継がれる黒坂真琴物語の中でも分岐がされた時間線の一つの時間線上》
「真琴、平成は終わりを迎え、令和となったぞ」
そう1人の老人が、世界最大国家の日本国第二の都市にある茨城県の鹿島神宮で参拝していた。
「なに、そう言ったってわかんねぇ~さ」
と、もう1人の老人も神社に参拝していた。
「それもそうか、帰って今日は新しい時代の幕開けを祝うべ」
「んだな、んだんだ、早く飲んで早く寝っぺ。明日は北茨城市の国指定無形文化財の祭り、常陸御船祭りを見に行くんだからな」
「お~、そうじゃった。あの迫力ある祭り、5年に一回だから次、俺達が見られるかわかんねぇもんな」
「んだ、見納めかもしんねぇからな。あははははっ」
「んだっぺ、参議も息子等に譲って今日からは身軽な年寄りだもん、若いものに任せて俺たちは俺たちで楽しむべ」
「んだ、んだ、パクたれた体に脳みそじゃ~若者の迷惑だかんね~」
《パクたれた=茨城弁で壊れたなどの意味》
日本国の重鎮で黒坂真琴に剣を教えた父方の祖父・日本政府後見役参議・黒坂龍之介と、これまた日本政府後見役参議で陰陽師として鍛え上げた母方の祖父・三神晴明の、姿であった。
「真琴は、真琴の時間線に乗れたんだ。俺達の知らない時間上では何様になっているんだっぺな」
「はははっ、俺達が知れる事実よりも分岐している時間線があるからな」
「俺たちには、北茨城市のお盆の盆船待ちだけんどな」
「あははははっ、そりゃそうだな、あははははっ、」
この2人は時間線が幾重にも広がり、枝分かれをし自分たちが知り得る武将・黒坂真琴以外の存在を感じ取っていた。
自分たちが知り得ない物語が続いていることを想像しながら、2人は酒を酌み交わし令和という時代の幕開けを祝った。
令和が災害なき、そして、戦争なき世であることを願いながら。




