第554話 インカ帝国とマチュピチュ・その1
インカ帝国皇帝ファナ・ピルコワコの許しを得て、ひたすら山道を進んだ。
護衛の兵士は少数精鋭、30人ほど。
高山病に強そうな者を人選した結果だ。
その護衛と、ファナ・ピルコワコは手配した案内人10名、そして、お初とお江が同行する。
小滝、桜子、ラララは辞退した。
体力に自信がなく、足手まといになると自らの申し出。
致し方ない。
そして、須佐がアルパカに乗って先頭を進む。
俺にもアルパカをと勧められたが、アルパカを乗りこなすほど器用ではなく、アルパカはひたすら口をもごもごしながら、俺が乗ると臭いつばを吐きかけてきた。
結果、そのアルパカは夕飯の食卓に出てきてしまうのは、俺の与り知らぬ事。
山道を3日進むとだんだんと道であるのかすらもわからなくなる獣道。
けむりくさくはないし、獣のフレンズになれそうな者も出ては来ないのだが。
「真琴様、このような所で良いのでしょうか?だまされてませんか?」
警戒するお初は言うが、
「ああ、目指しているところは日本で言えば忍びの隠れ里、これで良いんだよ」
と、答えるが俺も不安でしかない。
断崖絶壁を歩くのだから。
その会話は、案内人の耳に入ってしまい
「そんな ヒタチさまを だますなんて とんでもないことにございます」
と、平謝りしながら道先を進んだ。
・・・・・・。
獣道を進んで二日目の昼、
「ヒタチさま アレです」
と、山の中腹に作られた段々畑をでかくしたような石垣が組まれた場所が突如として目に入った。
「マチュピチュ、まさに空中の都市だな」
案内人が指さす所は、山城と呼ぶべきようにも見える。
とある映画の空に浮かぶような城・・・・・・。
絶景の光景。
俺が知るマチュピチュと違うのは、石垣で作られた家に茅葺きの屋根があり、生活しているように見えるところだ。
平成時代ではなくなってしまった屋根が存在する。
その家からは、煙が出ている。
生活感が遠くからでもわかる光景。
案内人の一人が、大急ぎで走ってその城に向かう。
俺の訪問を知らせるために。
「父上様、私も初めて来ます」
「そうか、初めてか。父も初めてだ。どうしても、この都市を見てみたかった」
「イスパニア帝国が滅びた今、この都市の役目は終わりました。破却する予定です」
「あっ、須佐、ちょっと待て、待て、破却はしてくれるな」
と、息子と話していると、マチュピチュから赤いカラフルな民族衣装に身を包んだ老人が出迎えた。
その者は日本語が話せず、須佐が通訳をしてくれた。
「イスパニア帝国を滅ぼせし英雄の御訪問、歓迎致します」




