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第538話 オーストラリア大陸ケアンズ城

 オーストラリア大陸の拠点ケアンズ城は現在、前田慶次が城代となっている。


艦隊を集結させなければ、前田慶次はこの城に基本的には常駐している。


オーストラリアの民アボリジニは基本的に下戸の為、酒場の盛り上がりがいささかかけることに前田慶次は不満げだ。


「御大将、もう歳なのでそろそろ日本に帰して下さい」


「ははははは、本心は酒場で騒ぎたいのだろう?」


「あは、わかっちゃいました?松には内緒にしといて下さいよ」


60を過ぎてもまだ、叔母である前田松が苦手と言うのがおもしろいところだ。


「もう数年は城代を頼みたいのだが、そうだ、慶次の息子を入れたらどうか?いずれ城主として俺の息子が入る。その時に家臣となる者が必要だ」


前田慶次の息子の前田正虎は龍之介の小姓として、すでに家臣にはなっているが、いずれは前田慶次の跡を継ぐので呼び寄せておいたほうが良いと考えた。


「正虎をですか?」


「慶次が鍛え上げよ。それにオーストラリアの生活に慣れた者が必要になる。アボリジニと共存共栄をしたい」


飲みニケーションが出来なくても、コミュニケーション能力の高い前田慶次は、アボリジニと良好な関係を築いている。


なんでも、前田慶次の猿楽がウケが良いと言うのだからおもしろい。


「あと、三年我慢してくれ、三年したら土浦城に戻そう」


土浦城は茨城城の一部ではあるのだが、出城扱いとして一つの城として扱っている。


近くには、前田慶次が築いた歓楽街がある。


「わかりました。土浦城に戻れるなら今しばらくここで励み、老後はゆっくりと土浦城で過ごさせて頂きます」


「ははははは、どうせ飲み明かすのだろう。まぁ~体には気をつけて程々にな」


「はい、わかっておりますとも」


前田慶次、若いときには歌舞伎者などと言われるが晩年は意外すぎるほど質素に生活をする。


史実だと、あまり裕福と言えない上杉米沢藩に身を寄せる事になるが、この世界では俺の重臣であり、大名クラスの領地を持っている慶次。


が、やはり質素になる兆しは見えていて歌舞伎者と言われるほどの派手さはなくなり、茶の湯や和歌や絵画の趣味に凝り出していた。


慶次が描く墨絵は、オーストラリアの雄大な大地を書いたり、カンガルーなどの生き物を書いた物が多く、茶室にはそれらが描かれた掛け軸がかかっていたりした。


萌だけでなく、普通の日本画にも俺は影響を与えてしまったようだ。


茶室にカンガルーが戦っている絵の掛け軸は実にシュールだった。


コアラが木にしがみついている掛け軸は癒やしがあり良いのだが。


前田慶次の息子をケアンズ城下町奉行として、赴任させるように茨城城に手紙を書く。


しばらく、町奉行として働きながら引き継ぎをしてもらうのが良かろう。


その後は、家老として働いて貰うことを想定する。


北斗を支えてくれる人物になることを願おう。










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