第519話 缶詰め開発専門技術研究所
鉄製缶詰めにはどうも酸化する問題点がある。
中身が黒く変色をしてしまう。
ナポレオンが最初に軍の食糧として瓶詰めを採用したのは知っているが、瓶詰めは輸送に問題が多い。
艦隊で遠洋航海をする俺としては缶詰めにこだわらなければならない理由がある。
缶詰めの中に何かを塗布すればよいのか?
酸化し難い金属?
金の塗布か?
金は流石ににコストが高すぎる。
何かないか?少々悩んでいると、缶詰めを試行錯誤している家臣が、
「錫を塗ってはいかがでしょうか?」
「え?そんな技術あるの?」
「はい、もともとは仏像を作る技術ではありますが、変色を防ぐために使われております」
錫でめっきをするわけか?
あれ?ブリキ缶って鋼鉄に錫をめっきしたものだったかな?
なら、缶詰めの酸化問題も解決か?
すぐに家臣に作らせる。
狙いは成功した。
酸化をしない缶詰めが完成する。
酸化問題が解決したなら、次は味付け缶詰めの製造に移る。
魚の水煮缶から味噌煮缶に、オイル漬け缶、肉も挽き肉と味噌を合わせた肉味噌缶などだ。
スパムはおいおい作ろう。
野菜も缶詰めにしたいな。
竹の子から試作するのが良いだろう。
竹の子、キノコ、アスパラガス、豆。
平成で見たことある缶詰めを作り出す。
あれ?そう言えばアニメでほうれん草の缶詰めを食べるとパワーアップするヒーローいたけど、ほうれん草の缶詰めって見たことないな?
平成では冷凍品が一般的になるからだろうか?
遠洋航海のビタミン不足を補うには野菜や果物の缶詰めは必要。
ありとあらゆる缶詰めを作り問題が発生する物を削除する方法でいくしかないだろう。
パンの缶詰めは難しい技術らしいが、ご飯の缶詰めなら大丈夫ではないか?
お粥なら間違いなく、作れるはず。
ん~自衛隊って缶詰めですべてを賄えるセットがあったと思うが、残念ながら買いに行く経験がなかった。
平成時代良く食べていた缶詰めと言えば、鮭・鯖・鰯。
缶詰めの他にも真空パックに冷凍品やフリーズドライ技術が進んでいたし、365日季節関係なく野菜も店頭に並んでいたからな。
あっ!桃の缶詰め、あれは美味かったなぁ~たまに無性に食べたくなるんだよ。
それと、さくらんぼの缶詰め、あれはアイスクリームとかに添えられていると嬉しかったりする。
缶詰め開発専門技術研究所を設立して任せてみるか。
桃子・梅子姉妹を奉行として研究所を設立した。
改良、開発をまる投げする。
すまない。
缶詰め開発だけに時間をかける余裕は俺にはない。
細かな事は研究所に任せよう。
きっと成果を出してくれるはずだ。
この研究所が常陸保存食品製造工業と言う世界最大の食品会社になることは、俺は知らない未来だった。




