第500話 地獄の業火の塔
フィリッペⅢ世の処刑台は『地獄の業火の塔』またの名を『インフェルノ・フレイム・タワー』と呼ばれるようになったのは、しばらくしてからだった。
「侵略者は許すまじか。なら儂らも侵略者だな」
と、織田信長は言う。
確かにイスパニア人からしたら日本人は侵略者になっている。
「そうですね、統治権までを取り金品食料を強奪し宗教を否定し、こちらから何かを強要すれば侵略者ですが、統治の責任者が蒲生氏郷なら大丈夫でしょう」
「なるほどな、だから、総大将が蒲生氏郷なら適任と申したのか」
蒲生氏郷はキリシタンに理解がある方だ。
史実歴史上では蒲生氏郷はキリシタンと知られるが、彼は高山右近に無理矢理肉料理で勧誘されたとか言われており、熱狂的信者というわけではない。
そして、この時間線では蒲生氏郷と高山右近は同時に俺の家臣となっていた時期はなく、接点がないため勧誘されたことはない。
「絶対君主制から一気に民主主義制にするのは難しいとは思いますので、蒲生氏郷を統治監として頭に据えて民衆代表者を出し合議制を取り入れてみてはいかがでしょうか?」
「日本国イスパニア藩か?藩主・蒲生氏郷」
幕府の根本的な運営を織田信忠、徳川家康に任せていた結果は幕藩体制となりつつある。
「まあ、そのようなところで。政治に宗教色を薄くするために隣のフランス王国のように信教を自由にしてしまうのがよろしいかと。でないと、プロテスタントだか、カトリックだとかなんだか同じ神を崇拝しているはずなのに争いが始まりますからね」
「政治に宗教は持ち出させん。それは厳しく取り締まる。しばらくは儂はこのジブラルタル城で目を光らせておく。それより、真琴は一段落したから帰ってはどうか?長いこと会っておるまい」
「ん~茨城そろそろ帰りたいですけど、仕事もまだまだ有るし・・・・・・」
「儂の年齢でも気にしているのか?」
「別にそういうわけではないんですが・・・・・・」
と、話しているとそれを聞いていたお初が、
「異国の姫君が側室になるとかならないとかで、それを待っているんですよ。伯父上様」
「ぬははははははははは、馬鹿か。まだ側室が欲しいのか」
久々に織田信長の「馬鹿か」を聞いた気がする。
「うっ、お初、それを言うか・・・・・・」
俺はオスマントルコ帝国次期皇帝アフメトⅠ世の妹とイギリス海軍提督フランシス・ドレークの娘を実は楽しみに待っていたのだ。
「いい加減にせい。次から次へと作りおって、少しは茶々達を優しくしてやれ。茨城城で必死に働いているぞ」
義父である織田信長にそう言われてしまえば仕方がない。
「はい、わかりました。ちょっとだけ日本に帰りますから」
茨城城に帰ることを決めた。
くぅ~トルコ美少女とイギリス美少女・・・・・・残念。




