第453話 たこ焼き&お好み焼き
先日、初詣をして何か物足りないのに気が付く。
それはたこ焼き&お好み焼きが露天商にないことだ。
当然と言えば当然なのだが、気になりだしたら食べたくなるのが人としての欲求ではないだろうか?
ひさびさに粉物を食べたくなる。
ソバでたまにガレット、トウモロコシでトルティーヤも作るが、今は違う。
たこ焼き&お好み焼きの気分だ。
料理一切を任せてある桜子に指示を出す。
鉄板はあるのでお好み焼きは可能、たこ焼きは鉄板を鍛治師に発注する。
常陸国では様々な世界各地の作物を実験的に育て始めているので、重要なキャベツだって手に入る。
小麦粉ももちろんあるし、豚肉もある。
海産物はちょっと海を走らせれば手にはいるので蛸、烏賊、海老、ホタテを獲りに行かせる。
ソースも桜子達が豚カツ味噌タレを改良に改良を重ね、最近では野菜や香辛料を煮込み、俺が求めるブルドックが描かれた物に近付きつつあるので問題ない。
山芋・チーズ・青海苔、鰹節、・・・・・・マヨネーズ!
マヨネーズを作っていない。
マヨネーズ……新鮮な卵と、油は菜種油で良いか、酢もある。
大きな茶筅ですり鉢に卵黄を入れ酢を入れかき混ぜながら菜種油を少しずつ投入すると乳化して白くなめらかにとろみを出し始める。
そこに塩と胡椒で軽く味付けをする。
まぁ、裸の赤ちゃんが万歳しているマヨネーズには程遠いが間違いないマヨネーズが完成する。
桜子、桃子、梅子、おそらくこの三人は今世界で料理の頂点にいるだろう。
俺が求める物の再現率が高い。
未来の料理を作れる三人に勝てる料理人はいないはずだ。
少なくとも、俺の時間線には織田信長の料理人にケンと呼ばれる者はいないのだから。
まぁ、それは掘り下げると怒られそうなので置いといて、お好み焼きの下準備は完成した。
・・・・・・海老が伊勢海老だった以外は特に問題ないがない。
なぜに伊勢海老?
車海老で良かったのに。
鮑や雲丹まである。
普通、使わないぞ。
小麦粉と山芋と卵と水を入れ生地を作りキャベツを混ぜる。
それを熱い鉄板に流す。
油がジャワジュワと煙を出す中、固まりつつあるお好み焼きの生地に薄切りにした豚肉を乗せる。
周りが固まってきた所をひっくり返すと裏面は程よい狐色。
後は豚肉と中まで火が通るように何度かひっくり返してソースを刷毛で塗り、マヨネーズを垂らす。
鰹節と青海苔もパラパラと振り掛ける。
台所はソースの焦げる匂いが立ち込める頃には、ちゃっかりとお江が隣に座り今か今かと待っていた。
「ほ~ら、出来たぞ、お好み焼きだ」
「うわ~凄い、ひさびさにマコの新作料理だ。いただきます。はふはふ、あちちちち」
「あわてるなあわてるな。桜子達も味見を」
8等分したお好み焼き一枚目を食べると、皆が目を見開き、美味い美味いと喜んだ。
二枚目は海鮮、お好み焼き。
烏賊、蛸、伊勢海老、鮑、雲丹入りだ。
めっちゃ豪華過ぎるだろ!
平成なら一枚5000円くらい取られそう。
二枚目も味見でペロリとなくなった。
その日の夕飯はお好み焼きパーティーになった。
茶々達も喜んでいつもより多く食べてしまい、腹の中で小麦粉が膨らんだのか苦しそうだった。
後日、たこ焼き用鉄板が完成したのでたこ焼きも作るとそれも喜ばれる。
俺は高校時代、友達とたこ焼きパーティーをして経験があるから丸く作れるが、桜子達は悪戦苦闘していた。
何度か練習すると丸く作れるようになる。
俺のたこ焼きは最後に油でカラッと焼く?揚げる?やつだ。
関西方面のたこ焼きにこだわりを持つ者に賛否両論の品だろうが、俺はカリッとした、たこ焼きが好きだ。
側室たちや家臣たちにも焼いて振る舞うと大盛況。
たこ焼き屋さんになった気分の1日となった。
お好み焼き&たこ焼きは右大臣黒坂常陸守直営食堂の新メニューに加わった。




