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第43話 饗応

 1583年 春


ようやく桜の花のつぼみが膨らみ始めたころ上杉景勝、最上義光、伊達輝宗は安土城に関東方面軍司令官、関東管領職を織田信長から命じられていた滝川一益に連れてこられて登城した。


織田信長に拝謁をし臣下の礼をとり正式な家臣になることとなった。


俺はその場にはおらず、台所でせっせと料理を作っていた。


今日は特別に桜子達も安土城台所の使用が許可されていたので俺は指示を出し見ているだけ。


安土城御台所役が桜子達の作る料理を目にして動きが止まっていたのは困る。


俺のほうで用意したのは、

鶏肉の唐揚げ、

一口串カツ、

鮭フライ、

エビフライ、

牡蠣フライ、

伊達巻き、

豚汁、

鶏肉の炊き込みご飯、


豚汁と炊き込みご飯は大量に作って付いてきて外で待っているそれぞれの家臣たちにも配れるようにした。


揚げたてを饗応の間に次々と運ぶ。


食べているところは直接見てはいないが運んでいる蘭丸の話によるとかなり喜ばれている様子。


中でも唐揚げは大好評らしい。


流石、平成の国民食だ。


「常陸様、上様がお呼びです」


と、坊丸が言ってきた。


なにか失態があったのかと少し怯えてしまったがどうもそうではないらしい。


慌てて饗応の宴席が行われている部屋に入る。


「失礼します」


と、そこでは20人ほどが酒を酌み交わし料理を食べていた。


上座最上段に織田信長。


それに対面するかのように座る三人。


「この者が、その変わった料理を作った者ぞ」


と、俺をおもむろに紹介する織田信長。


「お~この者が」


「織田様のお台所方でございますか?」


「・・・・・・」


何も言わないで黙々と酒を飲みながらカキフライを食べている人もいた。


「申し遅れました。織田信長様客分、安土城留守居役奉行並み、従五位上常陸介黒坂真琴、本日の饗応役料理係を仰せつかっております」


「なんと、家臣ではなく客分ですか?もったいない、それがし、伊達輝宗と申します」


「鮭をこのように調理した物を食したのは初めて、ふっくらとした身に鮭の風味を閉じ込めたこのサクサクした周りの物が良い、最上義光、感服仕った」


「美味にございます、牡蠣のふっくらとしたのがとても気に入りました。上杉景勝と申します」


「好みに合ったようで喜んでいただけて何よりでございます」


料理は喜んで食べて貰えてこそ。


いくら味が良かろうと好みに合わなければどうしようもないもの。


健康に良いから、私これ好きなんだ、今流行っているんだ、などという言葉で料理を他人に勧めるのはナンセンス極まりない。


料理は、味の好みは、千差万別なのだから栄養の偏らない範囲で、体を壊さない範囲で、好みの物を食べるのが一番。


料理が口に合ったみたいなので安堵してしまい少し口が軽くなってしまった。


「越後の湯沢温泉良いですよね~、山形の蔵王温泉も好き、陸奥の秋保温泉も気持ちよかったな~」


と、言葉を出してしまった。


温泉好きの祖父龍之介に連れられて行ったのが少し懐かしくなってしまった。


三人は目を丸くしていた。


「越後に来たことがあるのですか?」


「山形に来たことがあるのですか?」


「陸奥に来たことがあるのですか?」


と、言われてしまい言葉に詰まった。


あ!不味いこと言ってしまったかな?と、織田信長の顔を見ると「バカか?」と、いつものセリフを言いたいようだった。


「剣の修行で諸国を旅していたので」


と、苦し紛れの嘘を言ってみた。


が、三人はその言葉を信じたようだった。


諸国修業は一般的なのかな?


「何流をお使いで?」


と、上杉景勝が聞いてきた。流石、刀剣マニア。剣術マニア。


「常陸の国、鹿島の生まれ、神道流を少々」


と、だけ言葉に気を付けて言った。


「塚原卜伝の孫弟子にでも?」


「まあ、そのようなところです」


「本日のお料理大変に美味しゅうございました」


と、前田利家が助け船のように言って俺への質問はここまでという感じを出してくれた。


「下がって良いぞ、常陸」


その織田信長の言葉で退室した。


言葉には改めて気を付けないとならないな。






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