第421話 イスパニア帝国の使者
1597年10月6日
第四戦となったグアヤキル城防衛戦の戦いから1ヶ月ほど過ぎ織田信長が帰国したある日、外には下半身だけを隠したイスパニア人と思われる三人の男が両手をあげグアヤキル城に向かってきた。
「使者デス 攻撃しないでクダサイ」
と、大声で叫びながら城門に近づいてきたらしく、それを真田幸村は捕まえて謁見の間に連れてきた。
流石に裸のままとはいかず服を与えたとのこと。
男の裸は見ても嬉しくもないのでナイス幸村。
イスパニア帝国とは戦争時の約束事や決め事がないため使者の印など決めていないため、敵対者ではないのを裸で示したのだろう。
使者の対応はインカ帝国皇帝ファナ・ピルコワコだ。
ここはあくまでもインカ帝国なのだから。
俺は相手側の出方を見るために化ける。
謁見の間は50畳ほどの石畳の洋間だ。
壁際には複数の甲冑を並べて装飾にしている。
その謁見の間の上段にはインカ帝国皇帝ファナ・ピルコワコとお初を並び椅子に座らせる。
お初には同盟国日本代表の俺の代理を勤めてもらう。
その下座には左側に真田幸村、右側に伊達政宗そして槍を持つインカ人を並べさせた。
イスパニア帝国の使者の第一声は、
「お初の方様、真田幸村様お久しぶりでございます」
と、流暢な日本語で話す老人だった。
「老けましたね」
「あれからあちらこちらに行き、インカの地に神デウスの教えを広めるべく来ました」
「教えを押しつけてるだけでは?」
そう、お初は冷たくあしらうと使者は、
「インカ帝国皇帝ファナ・ピルコワコ様にイスパニア帝国との和睦をお願いにまいりました」
「ワボク?」
と、首を傾げながらファナは答えた。
お初が和睦の意味を教える。
「ワボクの条件は?」
「はい、アンデス山脈より西側をインカ帝国としアンデス山脈より東をイスパニア帝国が支配します」
と、惨敗したのにも関わらず使者は言う。
「負けておきながら随分と強気ですね?」
と、お初が言うと
「イスパニア帝国は日本には、いえ、黒坂様には負けましたがインカ帝国に負けたわけではございません。黒坂様はいつまでも守ってくださいませんよ。現に今もここにおいでではないではございませんか?」
なるほどな、俺がいずれは撤退するから南アメリカの大半はよこせばインカ帝国を認めようと言う話か。
「ヒタチさま 私のご主人さま お腹の子の父親 守ってクレナイわけない」
え?もう妊娠したの?衝撃的事実にびっくりする俺。
「次の皇帝は黒坂様の子供と言うわけですか?くはははははははは、あの悪魔の子?くはははははははは」
と、何かが壊れたように笑い出す使者。
「悪いな、俺の子供が跡継ぎだと都合も悪いだろう。なんせ、日本と血縁で強い縁で結ばれるのだからな」
は?は?は?と、あたりを見回す使者。
「ルイス・フロイス、久しぶりだな」
と、俺は壁に飾られた甲冑に紛れ込んで横から見ていた。
そう、使者は俺が日本から追放したルイス・フロイスだった。




