第355話 会いたい
南に出航を準備する中、俺は地図で樺太を見ていた。
「行きたいなら、遠周りなるけど行ったら良いじゃない。行き帰りで約20日、オーストラリアが消えてなくなるわけでも有るまいし、伯父上様からは準備が整ったと連絡はまだなのでしょ?行くべきよ」
俺の側室が増えることに一番苦々しく思っているはずのお初が背中を押してくれた。
「ありがとう、背中を押された気分だ。試験航海として樺太に一度向かうぞ」
樺太行きの幸村の船と一緒に、Champion of the sea HITACHI号で向かう。
行き10日の旅、無事に二年ぶりに樺太に到着する。
留多加港は、しっかりとした港になり、ドーム型の小型建物に大砲が設置されている。
天体観測の球体のようになっているのが20、海に向けて作られていた。
ドーム型住居の応用編だった。
もちろん撃たれるわけはなく歓迎されるが、時間があまりないので、トゥルックとオリオンがいる村に向かう。その地は豊原城と名付けられた、空の土堀と土塁で城、建物はドーム型住居ではあったが真田流築城術で建てられていた小さな城だ。
そこに入るとトゥルックは走って抱き締めてきてくれた、その後ろに隠れながらオリオン。
「お会い したかった」
「去年は済まなかったな、少し情勢が変わり南に力を入れなければならない。もし良ければ同行しないか?」
と、言うとトゥルックは首を横に振り、
「私は ココに 住むと キメてますから。わかってます。
お忙しいノ だから、毎年 来れないことは カクゴしてます」
「そうか、済まないな、さぁ~どれ、オリオン」
と恥ずかしがるオリオンを抱きしめあげる。
「父だぞ。ごめんな忙しくて」
戸惑い泣きそうにはなるが何かを感じたのかギュッと小さな力で抱き返してくれた。
その日は親子三人で囲炉裏を囲んで、俺の膝の上に座るオリオンとともに食事をして、過ごし、思い出の露天風呂で三人一緒に満点の星空を見上げ、知っている星の名を語ったりした。
慌ただしくまた俺は鹿島港に出航する際、オリオンは必死に足にしがみついていた。
それをトゥルックは優しくさとし離してくれる。
「お気をつけて」
そう一言言ってトゥルックは見送ってくれた。
幸村は今年も残り開発に力を入れた。




