第341話 萌侵略
次の日も俺は、お初と同じように草原のピクニックに行く。
料理の入った重箱に萌え萌えな美少女が描かれた酒瓶、盃を持って。
お初と今日も、ちびちび飲んでいると昨日の五人が現れた。
迷わず椅子に座るので盃に酒を注いだ。
五人は一口飲んだ後、昨日の盃と共に葉っぱに包まれた物を机に置いて葉っぱを広げた。
「おっおっおっ~、金とオパールじゃん」
「綺麗」
と、お初はオパールのなんとも不思議な輝きに目を奪われていた。
まるで夜空の満点の輝きを持つ星々を石に閉じ込めたような宝石。
身振り手振りで昨日の盃と交換してくれと言っているのがわかる。
「昨日のはあげたつもりだったのだけど良いか、なら今日はこれをあげよう」
と、レムとラムが描かれた酒瓶を渡すと五人は興奮している様子。
さて、ここからどうやってコミュニケーションをしていくかな・・・・・・。
「何をしておる?」
唐突に後ろから声が聞こえた。
「あっ、信長様。着きましたか、これはそのアボリジニとの友好的接触を試みているところで」
と言うと、後ろには、たまに見かける信長の側近の黒人家臣弥助とそれにアボリジニに似たようなかっこをしている人が3人いた。
「弥助、伝えよ。この大地を少し分けてくれぬか、貴様たちが大事にしているものまで取る気はない。この大地を少し譲ってくれればよい」
と、弥助に伝えると弥助は後ろに付いてきている人にそれを伝えていた。
さらにその後ろの者が萌美少女盃を大事そうに抱えている五人に話しかけている。
「パプアニューギニアから連れてきた者だ。少しは言葉は通じるはずだ」
信長は弥助を通訳にしていたみたいだ。
弥助、たまに安土城などで見かけてはいた黒人家臣・筋肉隆々でまるでボブ・〇ップみたいな男。
「上様、この者たちの村に行き話を付けてきます」
「ああ、頼んだ。気を付けていけ」
と、全九人は森へと消えていった。
「それはなんだ」
と、お初が手にしているオパールを見ながら言う。
「オパールと言う宝石ですよ。確か世界でも豊富に取れるのはここだけだったはず」
「ほう、なかなか綺麗な物だな。それを常陸はあの変な焼き物と交換したのか?」
「そうなってしまいましたね。萌美少女盃はあげたつもりだったのですが」
「ぬはははははははははは、笑うしかないな。常陸の趣味嗜好が世界を侵略するか、ぬはははははははは」
と、信長は大笑いをしていた。
萌世界侵略。
「ええ、俺のいた時代でも日本発祥『萌え』は世界共通語になりますから」
と言うと、隣ではお初が頭を抱えていた。




