第326話 1592年年越し
1592年正月元旦
俺は布団で寝ていた。
久々に体調を崩した。
重症などの症状ではないが、腹をくだし熱が軽くある。
俺は疲れがたまり冷えるとこうなる、だから寒さ対策を気にしていた。
布団で数日休めば回復する。
部屋は木炭ではなく、石炭が使われるようになったストーブでガンガン暖められ布団でうとうとする脇にはお初が一人看病してくれている。
正座をしながらコクラコクラしているお初、
「お初もう大丈夫だから休んで良いぞ、お初のほうが具合が悪くなってしまう」
「私は大丈夫よ、それより真琴様を放置するのは出来ないわ、皆は手分けして仕事してくれてるし、私は看病する役目なんだからね」
と、言うお初、
「なら、せめて隣に入れ」
と、俺は布団を軽くめくり入るように促すと、
「うん」
と、言って入ってきた。
「真琴様の匂い」
と、俺の首もとで匂いを嗅ぐお初に、
「臭いか?三日ほど風呂入ってないからな」
「ううん、嫌いじゃない。好きな匂い。好きな人の好きな匂い。濃い凝縮された匂い」
実はツンデレで俺を強く愛してくれている、お初。
「こうやって改めて匂い嗅ぐと、真琴様が私達の脇の下に顔を埋めるのもわかるわね」
「だから、改めて俺の性癖言うのはやめてくれ」
と、言うとお初は悪戯っ娘みたいにニヤリニヤリと笑っていた。
「さぁ、もう少し寝て下さい。私も無理はしませんからこうして温まりながら見守ってますから」
「うん、今日はお初の胸元の匂いを嗅ぎながら寝るか」
「ほら、馬鹿言ってないで大人しく寝なさい、早く回復しないと、小糸姉妹、ラララ姉妹が怪しげな調合を始めてますよ」
小糸姉妹とラララ姉妹は精力剤を作ったぐらいから、なにやら漢方に目覚めたらしく勉強を始めていた。
しかも、本多正純を通して徳川家康が協力しているらしく、色々文献を送ってきてくれている、今飲まされてる漢方薬もそれで調合された奴らしい。
確かに飲むと体が温まるから良い薬なのだろう。
そんな事を考えながら、お初の少し乳匂さが残る胸に顔を埋めて眠りについた。
一週間ほど布団で過ごした後、回復して床上げとなった。




