第288話 樺太温泉・政宗とのBLルート?
案内された風呂は、岩が敷きつめられた露天風呂。
茶色く濁った湯に温泉特有の強い匂いがする。
服を脱ぎ、体を湯で流し入ると伊達政宗も同じように入る。
軽く10人は入れそうな風呂、俺は距離を取るが政宗は隣に近寄ってくる。
「常陸様、なぜに逃げられる?」
「いやいや、こんだけ広いのだから近付く必要がないでしょ」
と、俺がずれて離れると政宗はまた隣に来た。
「ははははは、常陸様をどうにかしようなどとは思っておりませんから、むしろ、どうにかされても良いくらいで」
と、言う政宗の言葉に温泉に浸かっているのに身震いがした。
「冗談はさて置き、8月と言うのに朝晩は冷える地ですね。このような地で作物は穫れましょうか?」
あ、冗談なのね、良かった。
「米は厳しいかもしれないけど、蕎麦やジャガ芋、小麦、稗、粟あたりならなんとかなるんじゃないかな?大豆や小豆も試す価値は有るはずだし」
「ずんだ!ずんだにございますね!」
と、大豆と言った後に妙にテンションが上がる政宗。
「あーそだねー、あれおいしいよねー」
と、冴えないヒロインがフラットに興味なさげに返事をするように言うと政宗はなんか拗ねていた。
「ですが、やはり、日本の民は米が恋しいでしょう」
と、政宗は続ける。
「寒さに強い品種を植えればなんとかなるかもしれないけど、どうだろうね。今、考えてるのは海産物を日持ちするように加工してそれを本土で売る。売上で米を買う流れを作ろうかは思っているんだけど」
「なるほど、しかし、常陸様も北条をこのような所に追いやるとは、お人が悪い」
「ん~、底力のある大名にこの地を守って貰いたいんだよ。だから、北条にしたんだけど思いのほか苦しんでるみたいで残念だよ」
「常陸様はこの地が重要な地とお考えですか?」
「うん、地下資源もあるし、大陸からの北の国境線として、この地を守りの要にしたいんだよね」
「なるほど、上様は南に行き、常陸様は北ですか?寒がりで有名な常陸様なのにおもしろい、ハハハハハ」
「あっ!しまった~、そうだよ、俺は南に行くべきだったのに北に来てしまった」
と、頭を抱えると
「どれ、お背中を洗わせて下さい」
と、政宗は湯から上がった。
俺も湯から上がり岩に腰をかけ背中を洗ってもらう。
いやー力強いのなんの、背中の皮が剥がれるかと思ったよ。
もちろん、BLルートはなしで、健全に風呂から上がった。




