第266話 梅子懐妊
雪が珍しく降り続く中、梅子が具合が悪いと茶々から聞かされる。
様子を見に部屋に行くと、筋肉質ワイルドガールの元気いっぱいの梅子が珍しく布団で横になってすやすやと寝ていた。
世話をしている女中に、
「風邪か?」
と、聞くと首を振り、
「私の口から申し上げることはできません。ご容赦ください」
と、だけ言うのでしばらく寝顔見ていると気配に気がついたのか梅子が目を覚ました。
「あっ、御主人様、申し訳ありません」
「謝ることでない、どうした風邪か?どこか痛いのか?」
と、聞くと、
「その、悪阻がひどくて」
「悪阻か、うん、そうか、なにか食べれるものがあるなら・・・・・・つーわーりー!」
「はい、ありがたいことに赤子ができましてございます」
「おっし、四人目キターーーーーーーーーーーーーー」
と、ガッツポーズで喜びを表現すると梅子が涙していた。
「おお、どうした梅子?」
「四人目なのにそのように喜んでいただけるとは思っていなかった物で」
「なにを言う。子供、何人いたって良いでしょ、できれば側室皆に一人ずつは子供は産んでほしいくらいなんだからな、みなに自分の子を抱かせる喜びを与えるのが側室として皆を受け取った俺の役目な気はするんだよ」
「ありがとうございます。そう言っていただけるなら桃子もきっと喜ぶと思います」
「う、うん。頑張るよ。それより梅子、食べたいのはないか?作るぞ」
「はい、大丈夫にございますが、申し訳ないことですが酸っぱい物が欲しいです」
「なにを遠慮する。俺の子を身ごもっているならそのくらいの事を言うのになにをはばかる。おまえ達は俺の側室なのだからな」
側室になっても下働きを続ける桜子三姉妹は出身身分が低いせいか家臣達にも腰が低く、その家臣達は恐縮してしまっていた。
茶々が指導はしているみたいだったが生まれ持ってしまった性分なのかなかなか直らない。
だから、贅沢などとは無縁なのだ。
「蜜柑などで良いか?」
「はい、よろしくお願いいたします」
と言う梅子の為に蜜柑を買い付けに政道を走らせると政道は大急ぎで瀬戸内から仕入れてくると言う行動に出た。
鮟鱇仕入れの時にも注意したんだけどな、政道に頼むとろくに寝ないで馬を走らせる。
これは韋駄天と言う別名を持つ伊達の性分なのだろうか?
次からは日数を指示して買い出しに行かせようと決めた。
って言うか、蜜柑、広すぎる城の庭に植えるか。
「政道、蜜柑を木ごと仕入れてきてくれ、期限は三週間、遅くても早すぎてもだめ、休み休み運んで来てくれ、宗矩に南蛮型鉄甲船一隻出させるように許可を出すから」
「わかりましてございます」
と、仕入れに行き蜜柑の木が30本が運ばれてきた。
城の中でも日当たりが良く暖かな南側の庭に植える。
庭、果樹園にしようかな。




