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第139話 徳川家康

「うー、痛たたたたたたた」


と、後頭部を押さえながら立ち上がる緑の狸、徳川家康は忠勝を睨んでいた。


そりゃそうだろう家臣が投げ飛ばしたのだから。


「馬鹿力め、手荒なことをしおって。で、南光坊天海はどうした?」


と、忠勝に聞くが俺が答えてやる。


「南光坊天海、あれは怨霊に魂を売ったもの。それを側近にしておくなどどう言った経緯なのです?」


と、徳川家康に聞くと、配下になっていた穴山梅雪とは一度、本能寺の乱のおりの混乱で伊賀越えの最中に離ればなれになり、約1年近くして剃髪落飾した姿に変わって浜松城に現れたとのこと。


既に穴山梅雪の所領、城、住む場所もなく、また逃げた武将などには行き場がなかったため、僧侶として側近に雇うことになったと説明をしてくれた。


その南光坊天海の意見を取り入れて今回、兵を出し渋り北条の領地切り取り次第の約束を得てから出陣しようと言うつもりだったとのこと。


「家康殿、上様には俺からも説明いたしますので早く船へ」


「上様はお怒りであろう、秀忠、秀忠はおらぬか」


と、徳川家康は秀忠を呼ぶと、甲冑姿で隣の部屋に控えていた武将が襖を開ける。


隣の部屋には抜き身の刀、槍を携えた者が30人ほどいたが、俺達の様子や忠勝がジェスチャーで刀を置けと指示すると皆持っていた刀、槍を床に置き掌を床につき土下座をして敵対心がないことを示した。


「父上様、いかがいたしましょう」


と、三つ葉葵の家紋の前立ての兜を被った武将が言う。徳川秀忠なのだろう。


「これより上様に拝謁するが、帰ってこられるかはわからぬ。頭と胴が離れ離れになって帰城するやもしれぬが、秀忠、いかなることが起きようとも織田家に仕えよ。まずは酒井忠次、榊原康政、井伊直政と共に北上し北条を攻めよ。忠勝、そちは儂と上様の船ぞ」


と、家康が指示を出した。


「かしこまりました、すぐに小田原の城に向かいます」


と言う秀忠の言葉に、ため息を吐く家康。


「あのような城を力攻めにしてどうする、まずは周りの城を攻め落として裸城にするのが定石、滝川一益殿と連絡を密にとって連携して攻めよ、そして包囲する、良いか」


と、言う。


小田原城の攻めにくさは流石に有名なのだろうが、この戦いは今までの常識を覆す戦いになる。


総構えなど屁でもない。


「家康殿、秀忠殿、陸を進む兵は無理はしなくて良いです。着実に支城を落としてください。小田原の城は上様の艦隊が落としますから」


と、俺が言うと二人は、不思議な物を聞いたかのような顔をしている。


「まあ、近々見れますから」


と、軽く笑って俺は言った。


家康は黄金の、のっぺりとしているのにやたら派手な甲冑を身に纏うと、自らが持っている旧式の日本式の軍船の安宅船を港から出した。


安宅船には三つ葉葵の旗と厭離穢土欣求浄土の纏い、そして金扇の大馬印を高々に掲げていた。


ここに家康はいますぞっ!と、信長にアピールしているかのようであった。


俺達もそれに同乗し帰艦する。


勿論、敵対ではないことを示すために、家康は自ら艦首に立つ、ふらふらしている家康の腰を忠勝ががっしりと抑えていた。


映画で見たことあるような気がするが、なんかいまいち萌えない。


おっさん同士でタイタニック号ごっこですか?


と、俺しかわからないネタで一人大笑いをする俺を蘭丸と力丸が冷ややかな視線を送ってきた。


家康生きるか死ぬかと言う時に「不謹慎な」っと言いたいのだろう。


でも、きっと大丈夫だよ。


要らなくなった者を待つ信長ではない、だから、家康は怒られて終わりくらいだよと、内心俺は思っていた。


浜松の沖で停泊している信長が乗る、キング・オブ・ジパング号に船を隣に着ける。


キング・オブ・ジパング号に乗り移り、俺が帰艦の挨拶をしようとすると信長は俺を払い避け、


「遅い、家康」


と、どなりつけ抜刀し家康の首に太刀を当てる信長。


「申し訳ありませんでした、この家康、上様に付いていくのが恐ろしくなりました。今後、この日の本の国はどうなってしまうかと思い悩みました。その心の隙を狐に憑かれました。どうか、この首をお打ちください。徳川の兵は秀忠に任せ、滝川殿と連携するよう命じてきました」


「ぬはははははは、そうかそうか、だが斬らぬぞ、家康、貴様にはまだまだ働いてもらう、この国の穢れを消し去り民人が住みよい国になるまではな」


と言って厭離穢土欣求浄土の纏いに向けて抜いた太刀を向けた。


そう、信長が目指しているのは単純なこと、この国の乱世を終わらせる、ただそれだけなのだ。


その為なら方法を気にしない。


だからこそ、武力で天下を治める天下布武であり、朝廷をも利用しようとする征夷大将軍受任なのだ。


家康はひれ伏し涙をこらえているようだった。


この後、家康は自分の安宅船に戻ることを許され信長が率いる南蛮型鉄甲船艦隊の一番後ろを付いてきた。


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