第13話 幼女キター
俺は基本的にはすることはない。
織田信長は出陣してから一週間、まだ帰ってこない。
昼間は力丸と剣の稽古をしているが、朝早くから起きると迷惑になる。
俺は客分で世話される身分、それに合った生活スタイルでなければ世話する人に迷惑になる。
例えば、日の出と共に朝起きる生活をしたなら、世話する人はそれよりも早く起きないとならない。
だから気づかいとしては、良き頃合いを見計らって起きないとならない。
と、知った口を叩くがこれは俺の一番好きな武将、奥州の覇者、伊達政宗がそうしていたと知っているからこそだ。
俺には幸いなことに、ソーラー式の腕時計、あの戦車が踏んでも壊れないの、都市伝説があるものと、時計、カレンダーとしては、役にたっているスマートフォンを持っている。
まだ、壊れてもいないみたいで、ほぼズレもないみたいなのでその時計を使って朝は7時30分になったら庭に続く障子戸を開けることにしている。
そうすると、力丸が朝飯の膳を運んできてくれる。
そんな日々を過ごす、ある日。
夏に近づくにつれ日の出は早くなるが時間までは、と布団にくるまっていると、いきなり布団がずっしりと重たくなった。
何かヤバイものに襲われたかとビクビクしながら布団を少し捲ると、小さな小さなかわいらし足が見えた。
なんだ、子供かと胸を撫で下ろすが、
「ん?子供?はい?」
「あしょぼ~」
女のコの声が聞こえる。
幻聴ではない、布団の上からリアルに聞こえる。
座敷わらし?話すのか?
城に子供のイメージが結び付かなく、布団を全部捲るのには勇気が必要だった。
「あ~しょ~ぼ~」
遊びたいのか?
座敷わらしと遊んで良いのか?
取り憑かれる?
あれ?でも、妖の気は感じないぞ。
人間の子か?
と、見えてる足を指で突っついてみた。
「ははは、くちゅぐった~い」
俺の上に、布団の上に乗って足をパタパタさせているみたいで、再び突っついてみた。
「くちゅぐったいよ~はははっ」
かわいらしい声が聞こえると、そうすると不思議な物で恐怖心は消えていった。
そしてイタズラ心に火が着く、見える綺麗な足。
ペロッ
舐めてみた。
うん、ちょっと汗っぽい塩味。
・・・あっ、ロリコンじゃないからねマジで!
「わ~なめた~きもちわるい~、あはははは」
喜んでいるみたいなので、もう一度舐めようとしたとき、
「姫様ー姫様はどこぞーどこにいかれました?姫様」
と、大人の女性の声が聞こえた。
「あは、バレちゃったからまたね~」
と、言って布団は軽くなった。
すーっ、と、襖の閉まる音が聞こえたので布団から出てみると、誰もいない。
姫様って?織田信長の姫様って誰だっけなぁ?
織田家はそんなに詳しくないから知らないんだよなぁ。
伊達政宗の娘なら五郎八姫ってわかるんだけど。
そうこうしてると、ちょうど7時30分になったので障子戸を開けるとすぐに力丸が現れたが、うん、なんか舐めた背徳感からかちょっと聞けなくなってしまった。




