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第12話 御殿での生活

 俺は安土城の御成御殿の一室が与えられていた。


御成御殿は本来は『帝(天皇)』を迎えるための御殿で、それ以外は使われることがない物であるが、俺に貸し与えられてるということは織田信長の最大限のもてなしであるのがわかる。


部屋には大小の太刀が置かれている。


織田信長に付き添い出陣した森蘭丸に代わり、その二番目の弟の力丸が俺の世話役になっていたので確認すると、


「上様からの贈り物でございます」


と、言われた。


着替えの服も南蛮寺、南蛮商人経由で洋服を取り寄せてくれたらしく、着物ではなく洋服で過ごせているから不自由はなかった。


数日は、なにもする気も起きずに庭を見てはゴロゴロとしていた。


見事と言うのか、銀閣寺とかで見たような枯山水の庭は見応えはあったが、流石に毎日見ていると飽きたので、庭で貰った太刀で素振りをし始めた。


太刀の良し悪しは多少しかわからないが、見事な名刀であることは刃筋を見るとわかった。


面妖な光を放つ刃、じっと見つめれば俺の目が反射し何かの催眠術でもかかりそうなくらいに光る刃、良く斬れるのだろう。


庭で素振りをしていると力丸が、


「見事なお手前ですね」


「ありがとう、一応、家の流派の免許皆伝だからね」


「塚原卜伝の流派とお聞きしましたが」


俺より2つ年下な力丸ではあったが織田信長の小姓なだけあってしっかりとした受け答えであった。


「えぇ、鹿島神道流です」


「良かったら、御教授願いませんか?」


「御教授などと、たいしたことはできないけど少し相手になってもらおうかな、竹刀ってある?」


恐らく木刀しかないだろうけど一応聞いてみた。


「ありますよ、柳生石舟斎が持ってきてますから」


「柳生?柳生って柳生新陰流の?」


「その柳生だかは知りませんが柳生石舟斎は織田家に属していますが」


柳生と言えば徳川家康の家臣のイメージが強いが、元々は織田家に属していたと聞いたことがあるけど、織田信長が生きていると徳川家康の家臣にはならないのかな?柳生流派の革巻きの竹刀の存在は知ってはいた。


「少々お待ちください」


と、力丸は何かしらの革が巻かれたような竹刀を二本持ってきた。


それで軽くと言う約束で打ち合うことになった。


自信がないわけではなかった。


幼少から学んで得た鹿島神道流の俺の腕。


しかし、それは自惚れであった。


力丸は剣の斬撃だけでなく、足技ももちろん使ってくる格闘技であった。


剣は防げても蹴り倒される、そこに一撃が来る。


その一撃を剣で受ければ、空いた手で腹にパンチが来た。


もちろん手加減はされていたが痛い。


「まいった」


俺は呆気なく降参した。


「黒坂様の剣技、斬撃は早く重たく間違いなく一流の腕前かと思いますが、人を殺す技ではございません。綺麗過ぎます。それでは戦場では役に立ちません。死ぬか殺すかの戦い、その気迫がなければ」


「力丸は人を殺したことは?」


「ありますよ、ほらこないだの本能寺にも私もいましたし」


本能寺の変では、森蘭丸だけでなく、その下の弟の坊丸と、この力丸も戦い死んでいる。


そんな年下に教えられてしまった。


剣は人を殺すための技だと。


平成では自らを高める技術であり、スポーツに近いがそれは綺麗事。


この日から俺は力丸を相手に綺麗な剣技から泥臭い戦いの為の剣技の特訓をした。


そう、帰るためには生き抜かればならないと考えたからだった。





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無条件・無制約・無制限で面白いです。 読ませていただき、本当にありがとうございます。
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