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第126話 混沌の闇

 暗い暗い混沌の海を泳いでいるかのようだ。


周りには何も見えない、真っ暗な闇、そこをただひたすら泳いでいるというのか、浮いているというのか、そんな世界だ。


「真琴、起きなさいよね」


・・・・・・。


何かが聞こえる。


そうか、幼馴染の萌香か?


毎朝のように起こしに来てくれている。萌香。


「真琴、死ぬんじゃないよ」


これは夢なのか?きっと夢なんだ。


あの修学旅行で入った寺で、俺はなにかの病気になったか、事故事件に巻き込まれて危篤にでもなっていたんだ。


長い長い夢を見ていたのか?


「マコ~足舐める~」


「夜の舐め舐めお化け起きなさいよ」


「口吸いお化けの御主人様、起きなさい」


・・・・・・。


うっすらと目に光が戻ってくる。


「うっ、ここは?」


と、俺をのぞき込む美少女6人。


「茶々、お初、お江、桜子、桃子、梅子か?」


そう、俺のハーレムヒロインたちが俺の布団を囲んでいる。


「もう大丈夫でしょう、峠は越されました」


と、言う、いかにも歴史時代劇番組に登場しそうな医者?薬師(くすし)?が、俺の脈を採っている。


残念なことに、大沢さんには似ていない。金八さんのほうが似ている、おっさん。


「お殿様、風邪をこじらせたようで肺の腑が腫れていたようでございまして、三途の川を渡られる寸前にございました」


と、金八薬師(きんぱちくすし)が言っている。


寒い中、ほとんど休みなく陣頭指揮に立っていた。


急ぐあまりに、毛皮も忘れていて風邪をひいてしまったのだろう。


「ゲホゲホ、うっ、うん」


と、体を起き上がらせようとすると、お初が覆いかぶさってきた。


「静かに寝ていなさいよね、心配かけないでよ」


と、涙声まじりなのがわかる。


「ゲホゲホ、わかったから、わかったから、重いぞ、お初」


「重いなんて失礼ね」


ピシッ


と、遠慮しているのか場をわきまえているのか、空気を読んでいるのか、デコピンだけだった。


周りはそのやり取りを見て、目を押さえながら笑っていた。


きっと、泣きたいのと笑いたいのとと言う複雑な気分なのだろう。


「どのくらい寝ていた?」


「一週間になります。もうだめなのかと思いました」


と、茶々が言う。


少し苦しいし、体も重いが大丈夫な気が自分ではする。


「大丈夫だよ」


と、頭を撫でた。


「大丈夫ではありません、風邪は万病のもと、死を覚悟しなければならないときもあるのです」


と、金八薬師が言う。


「しばらくは、このまま静養をしていただきます」


「地震は?城下は?安土は?長浜は?信長様は?」


と、心配になって聞くと、襖の外にいたのであろう力丸が、失礼しますと言いながら襖を開けた。


「蘭丸兄上、坊丸兄上、それに賤ケ岳城から前田家の兵が救援に来て万事滞りなく民の救済に当たっております。上様が、初動に御大将が働いてくれたおかげで被害も少なくなり、また、織田家ではいざというときにすぐに動くものが居ることを国内外に見せることが出来たと大変感謝しておられています。御大将が倒れられたので、この薬師を手配してくれたのです」


「そうか、被害は最小限にできたか・・・・・・」


「上様の命にございます、しっかりと病を治せと」


「わかったよ、ただ、信長様に伝えて、余震は続くし、このあと各地で地震が頻発する活動期に入ったからと、そう言えばわかるはずだから」


「はい、すぐに早馬を走らせます」


と、言うと俺は少し疲れて眠りに入った。


しかし、先ほどとは違う白い世界の夢の中に入った。


心地よい、微粒ビーズが詰まった美少女抱き枕を抱いて寝ているかのように。


あとから知ったが、体を温めようと、お初が一緒に布団に入ってくれたらしい。


暴力的ツンデレ義妹で側室のお初、実は優しい。


約一か月、俺は苦い煎じ薬を飲まされながら、布団から出ることを許されずに静養した。


余震は続いていたが、耐震構造のうちの城は被害がほとんどなかった。



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― 新着の感想 ―
「第126話 混沌の闇」における茶々の台詞に >「一週間になります。もうだめなのかと思いました」 というものがありますが、期間の長さとしての「週」は西洋や西アジアのものであり、安土桃山時代頃の日本…
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