表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1230/1326

茶々視点外伝 茶々視点・⑦④話・祝言前日

仏間に膝をつき、父上様と御祖父様の位牌に静かに掌を合わせる。


香の煙が細く立ちのぼり、冬の冷えをわずかに温くしていた。


「父上様、祖父様――この茶々は、織田家の姫として、黒坂真琴なるお方に明日嫁ぎます。戦国の世とはいえ、父上様方の仇である織田信長の養女として……親不孝者でございますね、私……」


背後からそっと抱きとめる気配。母上様が、私を包むように腕を回された。


「長政様がそのようにおっしゃるはずがございません。きっと、茶々が好いた相手と結ばれることを、お喜びになりますよ」


「……そうでしょうか?」


「そうです。唯一無二の力を持つ男――黒坂真琴。その御方を捕まえたのです」


「たまたま、安土の城で出会っただけの運にございます」


「いいえ、運ではなく天命です。特別な力を持つ男と結ばれるのは、必然。……いえ、長政様のお計らいが働いたのだと、そう信じなさい」


「……母上様、そう信じて嫁ぎます。浅井家に申し訳ないなどの考えは、ここに置いてまいります」


抱く力が、ひと呼吸だけ強くなる。やがて母上様は離れ、声を潜めて告げられた。


「そうそう、まだ内密ですが――大津の城に、私たちも引っ越すことになりました」


「私たち……お初たちも、でございますか?」


「ええ。名目上、私たち浅井の者は“黒坂家お預け”と致すそうです。そうして、私たちに近づこうとする者どもを遠ざけるお考えとのこと。それに、常陸様のお手助けもいたしませんと」


「義父様は、真琴様のことをお案じなのですね」


「そうです。だからこそ蒲生氏郷を与力と致しました。本来は前田利家も与力につけるお考えでしたが、九州攻めと賤ヶ岳の築城で前田家はそれどころではない。ゆえにお止めになったのです」


「……九州攻め」


「織田家の天下は目前。“天下布武”。武をもって天下を制したのちに真に役に立つのが、黒坂真琴。――茶々、しっかりとお支えなさい」


「はい」


私は母上様の目をまっすぐに見返し、はっきりと答えた。

位牌の金箔が灯のゆらぎにきらめき、胸の奥で決意が固く結ばれてゆくのを、確かに感じた。

原作13巻2026年2月25日発売

オーバーラップ文庫

挿絵(By みてみん)


電撃大王連載中

挿絵(By みてみん)

電撃コミックスNEXT⑦巻発売中

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍版案内】 13巻2026年2月25日発売 i1090839 i928698 i533211 533215 i533212 i533203 i533574 i570008 i610851 i658737 i712963 i621522 本能寺から始める信長との天下統一コミカライズ版☆最新情報☆電撃大王公式サイト i533528 i533539 i534334 i541473 コミカライズ版無料サイトニコニコ漫画
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ