表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1188/1225

茶々視点外伝 茶々視点・③②話・とんかつで饗応役?

翌日、森力丸が使いに現れ、「本日の稽古はなし。黒坂様、上様の御召しにて登城」と告げた。

まつりごとの相談だろうと気にも留めず、私たちは居宅で過ごす。


昼過ぎ、城内を散策していると、茶室の縁先から黒坂様が出てこられ、大きくため息をついた。


「いかがなさいました、黒坂様」


「ああ、茶々か。今日は稽古、すまないね」


「お役目が先でございます。――ですが、何かお悩みでも?」


「“饗応役”、つまり接待の料理係を申しつかったんだ」


「ほう。どなたのために?」


「奥州の伊達、羽州の最上。それから越後の上杉」


「伊達家・最上家は日頃より贈り物もあり良好な間柄ですが……上杉家まで?」


「信長様が“武士の棟梁”と帝から認められた形になったでしょ?上杉は朝廷に背けず、恭順の意を表して上洛、正式に臣下の礼を取ることになったそうだよ」


「東国の大名がわざわざ安土に参る以上、饗応で迎える――重いお役目ですわね」


「はあ……困った。俺の料理で接待なんて」


「いつものお料理をお出しになれば宜しいではありませんか。どれも美味。さらに“豚”など希少な品を手に入れる算段もおありなのですから、料理そのものが織田家の“力”を示します」


「――料理で心まで臣従させる、というわけか」


「左様。饗応を命じられた真意はそこにございましょう」


「『金の心配はするな』って言われたのは、そういうことか」


「黒坂様の“不思議な知識”で、諸大名の好物などご存じでは?」


「はは、さすがにそこまでは……ん? 待てよ。――最上義光は“鮭”好きで、皮を焦がした家臣を叱った逸話をどこかで読んだ気がする。伊達は……政宗なら“ずんだ餅”だが、今回は父上の時代。でも好みは遠くはないはず。仙台名物の原型を再現すれば……」


「ほら、ご自身で冷静に考えれば出てくるではありませんか。何かあれば、お手伝い――いえ、“織田信長の姪”という立場で橋渡しもいたします。遠慮なくお申しつけを」


「えぇ、それは迷惑じゃない?」


「剣の師が困っておられるのに手を貸さぬ弟子――そんな無礼者になるつもりはございません。それに、私たち三姉妹はあなた様に大きな借りがあるのです」


「……ああ、あの襲撃の件は忘れていいのに」


「忘れられません。伯父上にとっても命の恩人、そして私たちにとっても――黒坂様は命の恩人です」


――本能寺の変ののち、残党が安土に忍び込み、私たちは命を落としかけた。

助けたのは、他ならぬ黒坂様だった。


「そこまで言ってくれるなら……饗応に出す料理の“味見”を頼むよ。この“時代の武将”が喜ぶ味付けにしないと」


「“この時代の武将”?」


「あっ、その言い方は忘れて。――とにかく、味見して相応しいか判断して」


「承りました。お江はきっと大喜びでしょうね」


「はは、確かに」


黒坂様は苦笑し、先ほどの一言を笑いで押し流した。

――“この時代の武将”とは、いったいどういう意味か。

その疑問がほどけるまで、もう少し時を要することになる。

電撃大王連載中

挿絵(By みてみん)

電撃コミックスNEXT

⑦巻2025年10月27日発売☆

挿絵(By みてみん)

原作継続中

オーバーラップ文庫

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍版案内】 i928698 i533211 533215 i533212 i533203 i533574 i570008 i610851 i658737 i712963 i621522 本能寺から始める信長との天下統一コミカライズ版☆最新情報☆電撃大王公式サイト i533528 i533539 i534334 i541473 コミカライズ版無料サイトニコニコ漫画
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ