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茶々視点外伝 茶々視点・⑨話・明智残党

「なにやつ!くせ者じゃ出あえ出あえ」


森力丸が味方を呼ぶが塀の外でも斬り結ぶ音が鳴る。


おそらくそれなりの人数でこの本丸近くまで攻め上がって来たのだろう。


安土城留守を預かる兵は最小限。


地の利がある者がいたのだろう。


「城に火を付けるつもりで来たが、織田信長縁の姫とみた!貴様らの首を刎ね見世物にしてくれる!さぞかし信長は怒るであろうな!日向守様の墓前の花代わりじゃ!」


頭と思われる者が指示して、お初とお江が敵に捕まりそうになったところに太刀を抜いた森力丸が斬りかかる。


黒坂様は丸腰……刀は?黒坂様の刀は?


庭に下りる階段側に置いてある太刀を見つける。


私はそちらに走りそれを手に取る。渡す為に走り寄るか?


敵が黒坂様との間に一人飛び出した。


私に向けられた剣先、お初とお江を守ろうとする森力丸は背中を斬られた。


万事休すと思われた時に突如、火縄銃が私の後ろの方から放たれ敵一人が倒れる。


音のほうを見れば、母上様。


母上様は、火縄銃に次の弾を仕込みながら、


「黒坂様に太刀を投げなさい茶々!」


「はっ!はい!黒坂様これを!」


初めて投げた太刀だったが火事場の馬鹿力か、なんとか勢いよく投げられ黒坂様に太刀が届くと黒坂様は受け取った。


しかし、太刀を中々抜かない黒坂様。


火縄銃で仲間が撃たれた事に逆上する敵。


「おのれ!いたぶり辱めてから首を刎ねるつもりだったがええい!殺してひん剥いて晒してくれる!」


怯えるお初、お江に頭と思われる者が斬りかかる。


私は走り寄ろうとした時、


……。


胴と下半身が離れた敵が私の前に倒れた。


まだ血が吹き出している下半身の先にいる人影、真っ赤に染まった人……黒坂真琴様だった。


甲冑ごと人一人真っ二つに斬る剣!?

しかも、下半身は立ったままなのだから鋭い斬撃なはず。


私はそれに驚く。


人の死、吹き流れる血、一度散々見ているのでそれに驚きはない。


「う……人を人を斬ってしまった……うっ……」


膝から崩れ落ち両手を地面につく黒坂様。


「なにをぐずぐずしておる。敵じゃ急ぎ捕らえよ!森力丸と黒坂様を手当ていたせ!急げ」


母上様の後を追って来たであろう家臣達が息のある敵を捕らえ、森力丸は両脇を抱えられ急ぎ運ばれた。


そして、黒坂様は……


「俺は怪我はないから」


とぼとぼと歩きだした。


「誰か湯を沸かしお流しいたせ、着替えもじゃ!茶々、お初達を連れすぐ部屋に戻りなさい」


「はっ、はい」


お初達と遊んでいた笑顔とは真逆の暗く深淵に堕ちてしまったかの様なくらい目をする黒坂様とすれ違う。


礼を言いたかったがそのあまりにも暗い目に言葉をかけられなかった。




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