茶々視点・③話・陰陽師?剣の達人?
「蘭丸、伯父上様が自ら運んだ者は何者?」
私は先ほどの目にした者がやたら気になり甲冑から着替えたばかりで廊下を歩く森蘭丸を呼び止め聞いた。
「あっ・・・・・・あの者は氏素性はわからないのですが、あの者は確かに上様の窮地を助けられました。本能寺であの者が撃った弾により、妖に取り憑かれていた明智光秀は倒れ私が首を・・・・・・」
「妖?」
まことしやかな事を言う蘭丸の言葉を聞き返した。
「まことに申し訳ございません。本当になにもわからないのでございます。まだ目を覚ましておられないので。上様が申しますには陰陽道に長けた者ではないかと、それと掌のたこは剣術を長年した者に出来るたこ。相当な手練れなはず」
「陰陽道に長け、剣術使い?山伏修行でもした者ですか?」
「さぁ〜目を覚ましたら上様が直々に問いただすそうでございますが・・・・・・」
「そうですか、呼び止めて済まなかった。疲れているであろう?少し休みなさい」
「はっ、ありがたきお言葉いたみいります。では、これにて」
廊下を進む蘭丸に向かって、
「なにかわかれば教えなさい。私はあの者の事を知らなければならない気がしてならないのです」
蘭丸は振り向き頭を下げ、
「しかと心得ました」
御幸の間に向かって行く蘭丸。
しばらくして気になり後をつけると、すでに蘭丸の姿はなく、御幸の間と本丸御殿に続く廊下の真ん中には伯父上様の異国人家臣・弥助が陣取って座り、他にも側近と思われる者が明らかにかそれ以上誰も通さないと言わんばかりに座っていた。
さらに外を見れば、御幸の間に向かえる庭に甲冑姿で太刀、弓矢、槍を持った者が床几に座り敵が来ても中に何人も入れない厳重な警護をしている様子で、それを森力丸が仕切っている。
「伯父上様の窮地を救ったからといってこの厳重な警護は?」
「茶々何をしているのです?」
後ろから突如、母上様に声をかけられ口から心の臓が出そうになる。
「ひゃっ!」
「なにもそんなに驚かなくても・・・・・・あ〜御幸の間、兄上様が運ばれた者を入れているそうですね。あの部屋は帝を招くために作った御殿なのにそこにいれるとはなにかあるのでしょう」
「はぁ~」
「気になりますか?」
「母上様、なぜかわからないのですが、あの者の事を私は知らなくてはならない気がして・・・・・・」
「そうですか、わかりました。あとで私が兄上様に聞きましょう。それよりいくら城の中とはいえ一人でうろうろしてはなりません。まだ明智光秀に組みした者も動いていると聞きます。部屋に戻りお初達と床に入りなさい」
「はい、母上様」
私はこの日はこれ以上の詮索を諦め部屋に戻った。
コンテスト作品(リアルタイム・アルファポリス・コンテスト参戦中、コンテストの結果次第で作家生命が伸びます。作家生命が伸びれば、『本能寺から始める信長との天下統一』続巻出ます)・書籍作業優先の為、不定期更新ご容赦ください。




