⑤⑥話 未来への投資
【時系列・原作書籍④・⑤巻付近】
今井宗久が置いていった5000両の一部を使い金堀衆を多く雇い入れると、新たな金鉱脈が発見された。
「殿、これで兵を雇い入れられますな」
「いや、さらに金堀衆を雇うために使おうと考えておる。それにこの奥州には火薬の原料となる硫黄が多く採れる。その山の開発資金としたい。また焔硝を作る為の技術を取り入れる為に人を雇おうと思う」
硫黄は多く採れるが焔硝は採れない。
糞尿を混ぜ合わせて作る技術があると書物で読んだのでそれを試しているが上手くいかない。
その為、それに詳しい人を雇えないか手配した。
「なるほど、戦いの要は今や鉄砲に大砲、火薬はどこも欲しがる代物」
「うむ、それでな、その火薬を作る者に口減らしで売られそうになっている者共を使おうと思う。流石に黒坂常陸様の学ばせ養う事は出来ないが仕事の場をと考えてな」
「なるほどなるほど、それは名案ですな。すぐに領内で硫黄が採れる山近くにその様な場を作りましょう。これが上手くいけば伊達家は火薬に困る事はなくなりましょう」
片倉小十郎景綱に任せてしばらく立つと、
「殿、硫黄の採掘場を調べて赴いた地、磐梯山近くで温泉から塩を作っておるのですがそこにも金を使い大々的な塩田にいたそうかと」
「山で塩か?」
「はっ、塩っ辛い温泉が湧き出ていましてそれを煮詰めて作っております。こちらです」
片倉小十郎景綱が皿に用意していた塩を出したのでそれを一舐めすると海から作った塩より少し優しい舌当たりのする海の塩とは風味も違う塩だった。
「塩の蓄えは戦を左右する。これはすすめよ」
「はっ、その口減らしの女子共はこの塩作りに従事させようと思います。女が火薬で真っ黒・・・・・・流石に無粋かと。なに、売られるのは男もおります。火薬はその男どもに」
「うむ、それでかまわん。小十郎頼んだ」
「はっ」
この塩は後に『会津山塩』として世に広がる。
作っている者達の多くが女だと知った黒坂常陸守真琴が目を付けないはずはなく、後に黒坂家御用塩となり売られることになる。
 




