㊿話 常陸貧困対策学校
【時系列・原作書籍④巻付近】
茨城城の城下に住まわせた草(黒脛巾組)から逐一黒坂常陸様が行っている政の情報が入ってくる。
その中で、城に貧しい農家の娘達を次々に集めている事が書かれた知らせが。
近江大津城では領民の為の政で噂だった黒坂常陸様。
舅・織田信長公の目が遠くなって女集め、女を侍らす生活。
萌美少女城はその心だったか。
名軍師も所詮は男だったか。
これなら小糸小滝姉妹も堂々と送れるな。
頃合いか?
そう考えていた矢先、新しい情報が。
女を集めていたのは自分のそばに置くためではなく学問を教え、手に職を付けさせる為・・・・・・?
先の戦で荒れた常陸国、食うに困る村が多く、口減らしに売られる娘の噂を耳にして自ら受け皿となっているだと!
養うのには金、そして食糧が必要。
金、食糧を貯め武具を買い兵を養い力をつけるのが大名のあるべき姿。
強い大名にならないとまたいつ起こるかわからない戦で負けてしまう。
それなのに黒坂常陸様はいったい何を考えている?
草からの手紙を片倉小十郎景綱にも読ませると、
「これが噂の『未来への投資』と呼んでいる黒坂家の政ですか、女を金を使って育てる、なるほど」
「なにがなるほどだ?わかりやすく説明しろ」
「口減らしで体を売る、もしくは異国に売られる。そんな恐怖の中の女達がもし、大大名の保護下に入り衣食住困らない生活になったら女達はどう思いますか?」
「そりゃ~大層感謝するであろう」
「そうです。数年もすればその女達は黒坂常陸様を崇拝する者となりましょう。そして、黒坂家は鉄砲、大砲を多用する軍、あの新式の銃なら女でも使えましょう」
「・・・・・・女鉄砲隊、なるほど。戦の度にかり出される農民より育てた足軽なら鉄砲を使いこなすうえに忠義心を持つ、なるほどなるほど」
「殿、伊達家ではそれは今はまだ出来ませんぞ。領地の他に織田家から給金を別で貰っており、また今井宗久や千宗易など堺の大商人と商いをしている黒坂家の財力だからこそ出来る事。当家は各地の守りを固めるため城普請で金が・・・・・・」
「わかっておる。だが、その城普請、女も働き手と多用すれば口減らしで売られる娘達の行き場になるのではないか?」
「それは黒坂家での女の扱いの噂が広まってからすぐに取り入れております。貧しい農民が黒坂領に移り住むようになる前に」
「うむ、そうか。小十郎、奥州の山にはまだまだ金が眠っていると金堀衆言っておる。金を多く掘りその金を使い少しずつ黒坂家のように忠義心を持つ足軽を育てるのだ」
「はっ、すぐに」
弱い女を保護したいと言う単純な考えの黒坂常陸守真琴とは裏腹に各地の大名達は伊達政宗のように裏があると読み、様々な形で口減らしで売られる者を雇い入れはじめる事となる。
その事で日本で口減らしと言う風習は消えていくことになる。
また、伊達政宗の読み通り、常陸貧困対策学校生徒は黒坂常陸守真琴に忠誠心を強く持ち、後に『紅常陸隊』『漆黒常陸隊』と言う特別な兵が育ち、世界を騒がせることとなる。




