㊵話 小名浜城
《時系列・原作書籍④巻付近》
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《伊達藤五郎成実》
磐城の地に一万石の領地を賜った。
殿はその磐城に港を持つ城を建てよと言う。
困ったものだ。
突然その様な事を言われても何から手を付けていいやら。
しかし、これからの戦には船は必要。
それを目の当たりにしてしまった。
織田水軍の船をいつか伊達家も造らねば、そしてそれを泊める港。
重要性はよくわかる。
その為、兎に角磐城の海を見なくてはと雪が降り積もる米沢から磐城に。
「磐城は2月だと言うのに雪がないぞ」
平城引っ越しの為にと一緒に磐城を見に来た鬼庭綱元と佐波古の湯近くの湯ノ岳から見渡して言う。
「藤五郎殿、冬場も兵が動けますから堅牢な城造りをいたさねば」
「さもありなん」
その日、佐波古の湯宿に一泊して以前の戦いで殿が陣をひいた勿来に向かう。
鬼庭綱元は平城見聞に行った。
長い長い北に延びる砂浜の先に突き出た岬が見える。
地図と照らし合わせると小名浜と書かれた地のようだ。
「常陸との国境となるこの勿来に城をと思ったがここでは大きな港はいささか厳しいな、もう少し開けた土地はないのか?」
磐城生まれの足軽に聞くと、
「小名浜は開けた土地があります。それに近くには高台が」
「そうか、あの見える岬か・・・・・・よしそこを見聞する」
馬を走らせ北に向かうと途中に大きな川が流れていた。
「この川、もし南から敵が攻めてきたときに対峙する場によいな」
鮫川と呼ばれる川、少し北側には丘があり丁度、常陸国の大甕神社の陣を思わせる。
戦の時には川で足を取られている敵兵に砲撃、久慈川での戦いのように出来る。
ここを戦の時に使うとして、少し北に城を・・・・・・。
北に馬を進めると勿来の砂浜から見えた丘に到着した。
「ここからなら南を見張るのに丁度良いな。しかも大きな入り江がある」
小名浜と呼ばれる漁村があり栄えている。
また、鬼庭綱元の平城に近い。
「よし、この岬に城を造る。小名浜城だ」
「はっ、ではすぐに手配致します」
「うむ、儂は佐波古の湯宿に逗留して差配する」
伊達藤五郎成実は佐波古の湯、スパリゾートハワイアンズで有名ないわき湯本温泉に逗留し城普請をする事となった。
この事で、佐波古の湯街も賑わうようになり、そして黒坂真琴を巻き込む事になっていく。
 




